アルミ合金製屋根(ウルトラドーム)が危険物保安技術協会の性能評価を取得
― 直径120mまでの浮き屋根式タンク用屋根への適用が可能に ―
■ 概要
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃2-1-6 社長 則久 芳行)は、このたび危険物保安技術協会から、既に取得済みの直径60mまでのアルミニウム合金製屋根(ウルトラドーム)の性能評価の適用範囲を大きく超える、直径60~120mのウルトラドームの性能評価を取得しました。
この評価取得により、浮き屋根式タンク用屋根構造物として、構造耐力、放爆構造、通気性能および消火設備などについて性能評価が適正と認められたことから、我が国に現存するすべての危険物貯蔵の浮き屋根式タンク用屋根構造物としての適用が可能となりました。
これにより、危険物貯蔵の浮き屋根式タンク用屋根構造物として、積極的に提案していく方針です。
※ウルトラドームは、米国ウルトラフロート社の登録商標です。
■ 経緯
当社は、平成11年に我が国ではじめてのアルミニウム合金製の屋根として、上水道タンクでウルトラドームを建設して以来、現在までに43基のアルミニウム合金製の屋根建設の実績を有しており、豊富な設計・施工ノウハウに裏付けられたアルミニウム合金製屋根のエンジアリングを展開してきました。
一方、浮き屋根式のオープントップタンクでは、大量の雨水の浸入や、強風・積雪などによる浮き屋根の破損や揺動などの不具合が生じることが懸念されてきました。
そこで、当社ではこれらの問題を解決する手段として、危険物貯蔵の浮き屋根式タンクにウルトラドームの設置を提案してきており、直径60mまでの浮き屋根式タンク用屋根構造物の性能評価も、既に危険物保安技術協会から取得しています。
このたび、我が国最大クラスである直径100m級の石油タンクへの適用を可能とするために、構造耐力、放爆構造、通気性能などの検討や実証試験を行い、直径120mまでの性能評価を取得しました。
■ ウルトラドームとは
ウルトラドームは、アルミニウム製の三角形の骨組を組み合わせて構成された球型立体フレーム状の空間トラスと、この骨組に被覆するアルミニウムパネルで構成される構造物です。
■ ウルトラドームの特徴
ウルトラドームの主な特徴は以下の通りです。
- 構成部材がアルミニウム合金で構成されているため、耐候性に優れ防食処置が不要です。
- 組立がすべてボルト接合であるため、施工が容易で短期間で施工可能です。
- 敷地の状況により、タンク内部または外部での組立てを選択することができます。
- 本体が軽量なため浮き屋根上でも組立が可能であり、既存タンクの躯体や基礎への負担も軽減できます。
■ 浮き屋根式タンクに屋根構造物を設置するメリット
浮き屋根式タンクに屋根構造物を設置することには、以下のメリットがあります。
- 強風や降雨および降雪による浮き屋根の揺動がなくなります。
- 風雨があたらないため、塩類や酸性雨および腐食促進物質などの侵入がなくなり、鋼材の腐食や劣化が低減できます。
- タンク内への雨水の浸入がなくなるため、バイオエタノールなどの水の混入を嫌う貯蔵物への悪影響を回避できます。
- 紫外線が直接あたらなくなるため、浮き屋根の塗装の耐久性が向上します。
- 浮き屋根の温度変化が緩和されて温度応力の変動を小さくすることができます。
写真-1 ウルトラドームの内側 |
写真-2 水道用タンクへの適用 |
写真-3 農業用タンクへの適用 |
写真-4 油タンクへの適用(海外事例) |
■ 今後の展望
このたびの性能評価取得により、直径120mまでの危険物貯蔵の浮き屋根式タンクへのウルトラドームの適用が可能となりました。
ウルトラドームは軽量で耐食性に優れ、また構造耐力、放爆構造、通気性能および消火設備等について安全性が確認された構造物です。
今後、当社では危険物貯蔵の浮き屋根式タンク用屋根構造物として、積極的に提案していく方針です。
写真-5 性能評価書
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