板状マンション新規格「ShukuGen2(しゅくげん2)」を開発―ジャストスペックな居住空間の創造

― 低炭素社会に向けて、住戸基本性能を維持しながら資材を縮減 ―

■ 概要

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃2-1-6 社長 則久 芳行)は、設計工程の縮減を目指して開発したShukuGen1 に続き、市場が求める板状マンションの住戸基本性能にジャストスペックで応える新規格「ShukuGen2」※1を発表いたします。

「ShukuGen2」は集合住宅を構成する構造フレームの見直しや住戸プランニングの工夫、設備計画の最適化を行なうことで、これまでの住戸基本性能はそのままに、建物全体の重量軽減と設備計画の合理化により建設資材の縮減を図るものです。これによる相乗効果として、マンション建設に伴うCO2発生量を1住戸当たり約1.3 t-CO2削減可能になります。※2 また使用される躯体数量については床スラブ単体で約15%、建物全体では5~7%程度の縮減が見込まれます。今後、全国のマンション開発計画での採用を目指して「ShukuGen2」の提案活動を展開していきます。  

※1 特許出願中
※2 出典: カーボンフットプリント制度試行事業CO2換算量共通原単位データベース(暫定版) ver.2.01 (社)産業環境管理協会による。

三井住友建設の中高層向け提案

■ 「ShukuGen2」開発の背景

ここ数カ月、分譲マンションの新規販売が相次ぎ、市場も復調の兆しを見せ始めています。そしてその内容は、都心の高単価案件を除けば、販売価格を抑えてエリアのニーズに合わせた比較的コンパクトな板状住宅を供給する傾向にあります。そのような状況を踏まえて当社では、板状ファミリーマンションにターゲットを絞り、市場ニーズにおいて真に求められる住戸スペックを追求し、オーバースペックを排除してジャストスペックな規格とした「ShukuGen2」を開発いたしました。

■ 「ShukuGen2」の主な構成要素

[1] 床スラブ厚を一律200mmに統一

鉄筋コンクリート造の集合住宅において、床スラブの重量は構造躯体全体の実に35%以上を占めています。この床スラブの重量を軽減するために「サイレントスラブ※3」と「サイレントビーム※3」を開発しました。これらの技術を組み合わせることで遮音性能を確保しながら床スラブ厚200mmという薄さを実現します。(従前は小梁無しの場合で平均240mm)

※3 商標登録出願中

板状片廊下住棟の場合のサイレントビーム設置例
板状片廊下住棟の場合のサイレントビーム設置例

サイレントビーム ...
住戸平面上の任意の位置に設置することで、床スラブの変形・振動を制御し、重量床衝撃音に対する性能を向上させる。住戸スパン途中までの設置となるので二重床内部で設備配管通過が可能で、住戸プランのバリエーションにも柔軟に対応できる。

[2] 戸境壁の厚さを200mmに統一

戸境耐震壁は内蔵梁鉄筋の組み方の工夫により10階建てクラスで厚さ200mmを実現。(従前は220~230mm)梁内蔵で壁との段差がないので、すっきりとした室内空間を実現することができます。合わせて床スラブ厚200mmの効果により建物躯体重量を軽くして、柱・梁・基礎・杭の負担を大きく軽減します。

[3] 排水縦管は戸当たり1本に統一

過去3年間の主な当社設計施工板状マンション案件の排水縦管設置本数は戸当たり平均2.18本でした。(ディスポーザー専用管を除く)これを二重床高さの確保と水場ユニットプランニングの工夫により1本で計画。排水管を水場近傍に設置する一般的な方式から、「サイレントスラブ」による二重床内を利用し排水管を横引きMBまで接続することが可能で、板状マンションでのSI住宅への展開も可能です。

[4] 「サイレントスラブ」によるふところの深い二重床と二重天井

「サイレントスラブ」は居室ゾーンと水場ゾーンとで300mmの段差を持った断面形状となっています。段差部を梁として利用するとともに、この床段差を利用して居間・食堂の天井ふところにキッチンダクトを設置しバルコニー側へ排気します。自由な設備配管計画を可能としながらも2.45mの天井高さを確保し、下がり天井の無いすっきりとした居住空間を創ります。

ShukuGen2 検討モデル住戸平面図
ShukuGen2 検討モデル住戸平面図

ShukuGen2 検討モデル住戸断面図
ShukuGen2 検討モデル住戸断面図

[5] 地下ピット範囲の縮小

[3]の排水縦管1本化により地下ピット範囲を半分程度にすることが可能です。これにより建設工事全体での土壌掘削量を2割程度削減でき建設工期・コスト縮減に大きな効果があります。また掘削土の搬出に伴うCO2の発生を抑えることが可能です。

■ CO2排出量の削減

生コンクリートの製造に伴う温室効果ガス排出量をCO2に換算すると346kg-CO2e/m3となります。※2 これを「ShukuGen2」の検討モデルに当て嵌めると、躯体ボリュームの縮減により1住戸当たり約1.3t-CO2のCO2排出量削減効果があります。当社の年間マンション供給戸数を約5000戸として全ての案件で「ShukuGen2」を適用したとすると約6400t-CO2の排出量削減となり、これは東京ドーム約2.5杯分、50年生スギの年間CO2吸収量に換算すると約45万本に相当します。

※2 出典: カーボンフットプリント制度試行事業CO2換算量共通原単位データベース(暫定版) ver.2.01 (社)産業環境管理協会による。

■ 今後の展開

「ShukuGen2」は、シリーズ第一弾である設計工程の縮減を目指した「ShukuGen1」に続いて、建設工事に係る資材の数量縮減を目指したシステムです。今後とも市場ニーズに合わせて、これまで以上により効率的で最適な提案を続けてまいります。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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