"ICタグ・ダムコンクリート打設管理システム"を実用化

― 野間川ダム本体工事 ―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 則久 芳行)は、総合評価落札方式で出件された広島県の野間川ダム本体工事に、ダムコンクリートの高品質化を目的として"ICタグ・ダムコンクリート打設管理システム"を技術提案して受注し工事を進めてきましたが、このたび定礎式を終え、このシステムを用い本格的な施工に入りました。

"ICタグ・ダムコンクリート打設管理システム"は、ダム建設工事においてレディーミクストコンクリートの製造から、運送、バケットへの積み替え、打設までを管理し、品質のトレーサビリティを確実にすることで、高品質なコンクリートダムを実現するシステムとして実用化したものであり、他工種にも適用可能です。

今後は、本システムをさらに発展させるとともに、幅広い工種に対応した施工管理システムとして積極的に技術提案を行っていく計画です。

図-1 ICタグ・ダムコンクリート打設管理システムの概念
図-1 ICタグ・ダムコンクリート打設管理システムの概念

 

■ 技術開発の経緯

当社は、施工プロセスの確実性を目指して、施工管理システムのIT化に関する技術開発を推進してきました。この取り組みの中で、ICタグを応用した一連の技術が実用化されており、たとえばICタグを用いてトンネル内でのダンプトラックなどの車両検知を行い、車両の運行管理を行う"ICタグ車両運行管理システム"を高速道路のトンネル工事に導入するなどの実績を上げてきました。

このような技術開発の一環として実用化されたICタグ応用技術が"ICタグ・ダムコンクリート打設管理システム"です。

 

■ "ICタグ・ダムコンクリート打設管理システム"とは

ダム建設工事において、レディーミクストコンクリートの製造から、運送、バケットへの積み替え、打設までを管理し、トレーサビリティを確実にすることで、高品質なコンクリートダムを実現する施工管理システムです。

 

■ "ICタグ・ダムコンクリート打設管理システム"の概要

"ICタグ・ダムコンクリート打設管理システム"は、現場外のコンクリートプラントからレディーミクストコンクリート(生コン)の供給を受けるダム建設工事に適用します。

現場外のプラントから生コンの供給を受ける場合には、生コンの製造から、運送、バケットへの積み替え、打設までを一貫して管理し、トレーサビリティを確保することが容易ではありません。

そこで、"ICタグ・ダムコンクリート打設管理システム"を導入して、高品質なコンクリートダムを実現する取り組みを実施することとしたものです。

本システムを用いることで、コンクリートプラントでの出荷情報が、堤体のコンクリート打設箇所でダイレクトに確認できるため、品質管理の確実性が向上します。また、予定外の配合のコンクリートや、許容運搬時間を超過した生コン車を自動的に識別して排除できるため、品質不良のコンクリート打設を防止できます。さらに、記録したコンクリート出荷情報と打設箇所・時間を自動で帳票出力できるため、確実なトレーサビリティが可能となります。

一方、このシステムは他工種でのコンクリート打設管理にも適用可能であり、多数の生コン車を使用する場合や、複数のプラントから生コンの供給を受ける場合などの品質管理にも大いに威力を発揮するものです。

 

■"ICタグ・ダムコンクリート打設管理システム"のデータ受け渡し

Phase 1

生コン工場において、ICタグにデータ(車番、コンクリート配合、時刻など)を書き込みます。

生コン工場におけるICタグへのデータ書き込み
(a) 生コン工場におけるICタグへのデータ書き込み

Phase 2

バケット積み替え場において、バケットのICタグにデータ(車番、コンクリート配合、時刻など)を書き換えます。

(b) バケット積み替え場におけるバケットへのデータ書き換え
(b) バケット積み替え場におけるバケットへのデータ書き換え

Phase 3

堤体のコンクリート打設箇所において、バケットのICタグのデータを携帯端末に表示させます。

(c) 打設時の確認
(c) 打設時の確認

 

■ 野間川ダム本体工事の概要

野間川ダムは、野間川総合開発の一環となるプロジェクトで、生活貯水池として建設するものです。

工事名:野間川ダム本体工事
工事場所:広島県三原市~尾道市
発注者:広島県
工 期:2009年12月23日~2013年3月15日
ダム諸元
形式:重力式コンクリートダム
堤高:31.5m
堤頂長:112.6m
堤体積:25,777m³

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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