独自の放射能汚染土除染システムの効果を実証

― 洗浄と研磨により放射性セシウムを除去 ―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 則久 芳行)は、独自に実用化した放射能汚染土除染システムを、福島県除染技術実証事業の公募対象技術として応募し、選定されたことから、伊達市小国ふれあいセンターにおいて実地試験を実施してきましたが、除染処理後の放射能濃度を1/25に低減させ、処分が必要な放射能汚染土壌の量を1/5に減らすことに成功し、この除染システムの効果を実証しました。

この放射能汚染土除染システムは、汚染土壌の前処理工程、特殊洗浄機を用いた研磨工程、除染処理土と放射性セシウムを含む濁水に分離する洗浄・分離工程、凝集剤とセシウム吸着剤を用いた濁水の濃縮・脱水工程などにより、除染処理土と放射性セシウム濃縮土に分離する可搬式プラントを用いた独自開発の除染システムです。

今後は、除染処理方法の自動化を含むさらなる効率化を推進するとともに、この放射能汚染土除染システムの積極的な展開を通じ、被災地の一日も早い復旧を支援していきます。


福島県除染技術実証事業における実証プラント

■ 実用化の経緯および実地試験

三井住友建設は、昨年5月から金沢大学との共同研究で、これまで放射能汚染土を用いた室内試験および現地での実証試験を繰り返し実施して、除染減容化技術の実用化を進めてきました。

このたび、福島県除染技術実証事業に選定され、12月1日から伊達市小国ふれあいセンター内の運動場約2,500 m2の除染・実地試験を開始しました。

当地では、地上1 mで平均2.0マイクロシーベルト/時(μSv/h)の放射能が計測されており、地表部汚染土壌の濃度は約20,000ベクレル/キログラム(Bq/kg)となっています。この除染・実地試験の開始段階で、除染処理の結果 1/25の濃度800ベクレル/キログラム(Bq/kg)にまで除染することに成功しました(計測値はいずれも当社分析結果)。また、対象となる土壌については、処分が必要な放射能汚染土壌の量を1/5に減少させることができました。

■ 当社の放射能汚染土除染システムの概要

このたび効果が実証された放射能汚染土除染システムは、汚染土壌の前処理工程、特殊洗浄機を用いた研磨工程、除染処理土と放射性セシウムを含む濁水に分離する洗浄・分離工程、凝集剤とセシウム吸着剤を用いた濁水の濃縮・脱水工程などにより、除染処理土と放射性セシウム濃縮土に分離する可搬式プラントを用いた当社独自開発の除染システムです。

このシステムの工程は、放射能汚染土壌に対して [1] 洗浄剤により放射性セシウムの剥離効果を高める前処理を行い、 [2] 独自に開発した特殊洗浄機などによる研磨工程において土粒子から放射性セシウムを剥離させ、 [3] 洗浄工程において除染処理土と放射性セシウムを含む濁水に分離し、 [4] 濁水を凝集剤とセシウム吸着剤で処理し沈殿物を濃縮・脱水するという工程で、再利用可能な除染処理土と放射性セシウム濃縮土に分離するものです。

大型機械や強い酸などを使用せずに、コンパクトな処理装置を用いた方法により、現地での汚染土の除染が可能です。


放射能汚染土除染システムの処理のイメージ

■ 当社の放射能汚染土除染システムの特徴

当社の放射能汚染土除染システムは、以下のような特徴を有しています。

  • 洗浄剤による前処理と特殊洗浄機による研磨処理を組み合わせて汚染土を処理し、再利用可能な土と放射性セシウム濃縮土に分離し減容化します。
  • セシウム吸着剤は金沢大学において安全性が確認された薬剤です。
  • 強い酸などは使用しないため、処理作業や処理後の土壌への悪影響が回避できます。
  • 小規模なモバイル型のプラントであり、学校・公園などの除染に適しています。
  • 実験室などで使用する精度の高い放射線測定方法を採用するため、環境中の放射能の影響を遮断した測定が可能となり、再利用土の安全性が確保されます。

■ 今後の展開

当社の放射能汚染土除染システムは、可搬式プラントと安全な薬剤により、放射能汚染土壌の除染減容化を行うシステムです。

放射能汚染土壌の除染工法の確立・普及が強く求められていることから、三井住友建設ではこの放射能汚染土除染システムの積極的な展開を通じ、被災地の一日も早い復旧を支援していきます。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

【参考】 福島県除染技術実証事業

福島県が、優秀な除染技術を公募し、除染の実施前および実施後の放射線量などを測定し、その測定結果を公表することなどにより、除染の効果的・効率的な方法を普及させ、本格的に行われる県内各地における除染活動を促進することを目的とした事業です。
構造物(屋根・屋上・壁面・底面など)の除染技術として6件、放射性物質に汚染された土壌(農地を除く)の減容化技術として10件、その他の除染技術として4件、計20件の除染技術が選定されており、三井住友建設は放射性物質に汚染された土壌の減容化技術分野で選定されました。

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