"気泡ソイルセメント柱列壁工法"を建築工事に本格適用

― 環境負荷を大幅に低減できる土留め壁工法 ―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 則久 芳行)は、環境負荷を大幅に低減できる土留め壁工法である"気泡ソイルセメント柱列壁工法"を、建築工事に本格的に適用し、その効果を確認しました。

"気泡ソイルセメント柱列壁工法"は、注入するセメントミルクと発生する泥土量を低減させることのできる気泡を加えながら地盤をオーガーで連続掘削し、その溝内にソイルセメント壁を構築する工法で、建設汚泥量を削減して環境負荷を大幅に低減することができます。

当社では今後も、この"気泡ソイルセメント柱列壁工法"を建築工事や土木工事に幅広く適用し、建設工事の環境負荷低減に貢献していきます。

写真-1 建築工事に適用した気泡ソイルセメント柱列壁工法
写真-1
建築工事に適用した気泡ソイルセメント柱列壁工法

■ 経 緯

2001年にグリーン購入法が制定され、国や地方公共団体などにおいては物品の調達や公共工事などに際し、環境負荷が小さいことが客観的に認められる品目を優先して選択することが義務付けられました。また、民間企業においても、独自のグリーン調達基準を設け、グリーン調達達成状況を環境報告書などで報告する企業が増加しています。

このような環境負荷低減のニーズに応えるため、当社では、建設廃棄物全体の最終処分量600万トンの約3割も占めている建設汚泥注1)を大幅に削減できる"気泡ソイルセメント柱列壁工法"の開発を行ってきました。

技術開発段階において、砂質土地盤や粘性土地盤を対象とした実証試験を実施し、従来工法と比べて建設汚泥量の削減による環境負荷低減効果などを確認して実用化を達成した後、2011年に都市部の土木工事に初めて適用し、厳しい施工条件においても所期の目的を達成できることを実証しました。

注1) 建設工事に係る掘削工事から生じる泥状の掘削物および泥水のうち産業廃棄物として取り扱われるもの

■ 気泡ソイルセメント柱列壁工法 とは

"気泡ソイルセメント柱列壁工法"は、注入するセメントミルクと発生する泥土量を低減させることのできる気泡を加えながら地盤をオーガーで連続掘削し、その溝内にソイルセメント壁を構築する工法で、三井住友建設株式会社が、株式会社竹中土木、早稲田大学、有限会社マグマ、太洋基礎工業株式会社とともに共同開発した工法です。専用の気泡プラントで生成した気泡をセメントミルクと混合し、オーガー先端から吐出しながら削孔混練りし、引き上げ混練り時に消泡剤を吐出・撹拌して気泡を消失させて、ソイルセメント壁を造成します。

従来工法では、オーガー注2)による削孔・攪拌時において地盤の流動性を高めるために多量のセメントミルクを注入する必要がありました。

これに対して"気泡ソイルセメント柱列壁工法"では、このセメントミルクの一部を気泡に置き換えることにより、注入するセメントミルク(セメント・水)の量を少なくできることに加えて、気泡のベアリング効果で流動性が高まるためトータルの注入量も減らせことができ、削孔時における泥土発生量が削減できます。

そして、オーガーの引上げ時には、気泡を消し体積を減少させることで泥土発生量を少なくし、環境負荷を低減させるとともに、産廃処分費を削減できます。

注2) スクリューによって地中に孔をあける機械


図-1 従来工法と気泡ソイルセメント柱列壁工法の相違点


図-2 プレフォーミング気泡

図-3 ベアリング効果のイメージ

■ 工事概要

このたび"気泡ソイルセメント柱列壁工法"を適用したのは、千葉県市川市の研究所兼研修センターの建築工事であり、土留め壁工事としても面積が9,550m²と大規模なものです。

この現場では本工法の適用により、建設汚泥発生量を一般的なSMW(ソイルミキシングウォール)工法
注3)の1/2に削減でき、優れた環境負荷低減効果が確認できました。

工事概要は、以下のとおりです。

発 注 者:山崎製パン株式会社
所 在 地:千葉県市川市
建物用途:研究所兼研修センター
構造規模:鉄骨造  地上7階 / 地下1階
全体工期:2011年9月1日~2013年11月30日
山留施工期間:2011年10月~11月
山留面積:9,550m²
設  計:株式会社 梓設計
施  工:三井住友建設株式会社 東京建築支店

注3) セメント、ベントナイトを用いた懸濁液を注入混合しながら掘削し、ソイルセメントの壁を地中に造成して遮水を兼ねる山留め壁を構築する工法です。

■ 今後の展開

2011年4月に施行された改正・土壌汚染対策法により、規制対象区域の分類に応じた措置の明確化が図られ、各企業においてはCSRの観点から土壌・地下水汚染対策のための環境リスク管理が不可欠となりました。

これを受けて、三井住友建設株式会社では、今後、本工法を建築構造物のみならず道路・地下鉄・処理場などの構築に伴う柱列式地中連続壁工事などを中心に適用して、建設工事の環境負荷低減に貢献していくとともに、気泡ソイルセメント壁の高い遮水性を活かし、封じ込めなどの土壌汚染対策工事に対しても積極的に展開していく計画です。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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