完全フリープラン対応マンションMSIシステムを開発
― ライフスタイルに合わせて生活空間を「カスタマイズ」―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 則久 芳行)は、マンション購入者がライフスタイルに合わせた生活空間を自由にカスタマイズでき、将来のリニューアル時の空間構成の変更自由度や設備更新性を従来より格段に高めた、完全フリープラン対応マンション"MSIシステム※1"を開発しました。
MSIシステムは、当社独自開発のSuKKiT(スキット)※2とShukuGen2(しゅくげん2)※3をプラットフォームとした設計システムで、標準的な階高の板状外廊下形式のマンションでスケルトンインフィル住宅※4を合理的に実現します。従来スケルトンインフィル住宅は、階高が大きく増えたり、設備関連施設が大きく増加したり"重装備"となるため、長所は認められるものの現在までに大幅な普及には至っていませんでした。
MSIシステムでは、スケルトンインフィルシステムと水回り配置の自由度が高いフリープラン対応により、住まう方の家へのこだわりを新築マンションで自由に具現化でき、将来のライフスタイルや社会の変化に合わせたカスタマイズがより簡便に実現できることが特徴です。
図-1 MSIシステム 住戸内観イメージ
※1 "MSIシステム"の関連特許出願中。 MSI →三井住友建設 スケルトン インフィル の略称。
※2 SuKKiT: 開放感と自由度を合理的に実現するマンション設計システム。
※3 ShukuGen2: 建物の重量軽減と建設資材の縮減を図り、CO2排出量を削減するマンション設計システム。
※4 スケルトンインフィル住宅:躯体と仕上げ、設備を分離し、可変性を確保した住宅システム。
■ 背景
このところ住宅購入者の家に対する意識に変化が生まれ、自分のライフスタイルに住まいの形を合わせようとする動きが活発化しています。より自分に合った生活空間を求める消費者のニーズに応えるために、新築分譲マンションでは間取りパターンや仕上げ材の選択肢を増やし、賃貸マンションでは壁紙や照明を入居者の好みに変えられる物件が出てきており、それらに人気が集まってきている状況となっています。ところが、これまでの一般的な板状マンションでは、排水管の勾配確保のための長さ制限や各階で同じにしなければならない排水縦管の位置により、水回り諸室の配置位置に制限が生じていたため、大胆なプランニングの変更はできませんでした。
そこで当社では、ライフスタイルに合わせた生活空間を自由にカスタマイズでき、将来のリニューアルにも合理的に対応できる、完全フリープラン対応のマンション設計システム "MSIシステム"を開発しました。
■"MSIシステム"の特徴
【1】 新開発のスケルトンインフィルシステムで更新性に優れたマンションを供給
MSIシステムは一般的な板状外廊下形式のマンションを対象としており、2965mmという標準的な階高の中で建物の構造と住戸の内装・設備を分離する、いわゆるスケルトンインフィル住宅を実現します。
住戸内はサイレントスラブによるスラブ段差や住戸中央部で途切れるサイレントビームにより、二重床内での設備配管の取り回しが容易になり、各水回りから排水縦管までの横引き管を従来のスケルトンインフィル住宅よりも短くすることができました。また必要十分な大きさの点検口を、メンテナンススペースをしっかり確保しながら設置できるので、将来のライフステージの変化に伴うリニューアル時の手間を少なく、施工期間を短縮させることができ、また長期優良住宅の認定取得も可能となっています。
図-2 MSIシステム 構造フレームイメージ【2】 ライフスタイルの変化に合わせてカスタマイズ可能なフリープラン対応
MSIシステムでは、従来のマンションにおける平面的に部屋の位置や大きさをやり取りするパズルのような間取りパターンではなく、住まう方自身のライフスタイルの変化に合わせた最適な生活空間づくりが可能になります。
具体的には、水回りは住戸内のほぼどの位置にも設置可能で、これまでよりはるかに自由に台所、トイレ、浴室、洗面脱衣室等のレイアウト変更が可能です。(図-3) それにより家族構成、職業、趣味、収納量などさまざまな条件とその変化に応じて、水回りの制約を受けずに生活空間をカスタマイズでき、細分化するニーズに対し的確な対応が可能となります。
また当社のSuKKiTを活用した躯体フレームにより、2mを超えるハイサッシや梁型の出ない戸境壁など住宅としての付加価値が向上します。ハイサッシによる大きな開口部によって、国土交通省の定める品確法の住宅性能表示で光・視環境での開口比率が向上し(6帖の居室で約10%の性能UP)、より照明負荷を抑えて通風に優れた住まいが実現可能です。
図-3 水回りレイアウトの例【3】 躯体量の削減により建設時のCO2排出量を抑制
MSIシステムは当社のShukuGen2による躯体フレームをベースに開発されており、住戸の基本性能は従来通り確保しながら建物躯体の削減を図ります。床スラブについてはサイレントビームを用いたサイレントスラブ、壁については梁内蔵型の戸境壁とすることで、建物全体の躯体量で5~7%の削減が見込まれます。これはマンション1住戸あたり約1.3ton-co2のCO2排出量削減効果があり、当社の年間マンション供給量を5000戸とした場合に、50年生スギの年間CO2吸収量換算で約45万本に相当します。
■ 今後の展開
"MSIシステム"は、人々のライフスタイルや価値観の多様化に伴って生まれてきた、住まう方が自分に最適な居住空間をつくりたいというニーズに対して、マンション供給26万戸の実績をもとに開発しました。首都圏をはじめ全国のマンション開発案件に積極的な展開を図っていきます。今後もこのような技術開発を通じて、より一層のマンション価値向上に寄与すべく、安全・安心・快適な住まいの創造を目指し続けていきます。
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