創エネと省エネを両立する建材一体型太陽光発電システムを開発

―"アクティブとパッシブの融合"による新たなファサードデザインを自社施設に採用―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃2-1-6 社長 則久芳行)は、創エネルギー技術の更なる普及期に備え、太陽光発電による創エネルギー(アクティブソーラー(※1))技術と、自然通風と採暖による省エネルギー(パッシブソーラー(※2))技術とを融合させた独自の建材一体型太陽光発電システムを開発し、自社施設に導入しました。

写真1.本システムの外観
写真1 本システムの外観

(※1) 機械的な装置を使用して積極的(アクティブ)に太陽エネルギーを活用する方法。太陽電池を用いた発電のほか、太陽熱を集熱して給湯や暖冷房などに利用する太陽熱利用システムなどがある。

(※2) 機械的な装置を用いずに、建物の構造や建材などを工夫し能動的(パッシブ)に太陽エネルギーを利用する方法。昼間に太陽熱を床や壁に蓄熱し、夜間に放熱することで採暖する方法や、太陽熱により温められた空気を自然対流にて室内に導入する方法などがある。

 

■ 背景

エネルギー資源の乏しい我が国においては、再生可能エネルギーを用いた創エネルギーの普及が欠かせません。実現が急がれる"建築物のゼロ・エネルギー(ZEB)化"においても、省エネ技術や節エネ行動とともに、創エネが非常に重要となります。一方で、屋上設置の太陽光発電のみではZEBの実現は困難との試算結果もあり、当社では、外壁面における創エネと建物の顔ともなるファサードデザインとの調和を目指す建材一体型太陽光発電システムの開発に取り組み、実建物への施工と導入効果の検証を実施してまいりました。

 

"アクティブとパッシブの融合"による新たなファサードデザイン

本システムは、「汎用的な太陽電池モジュールとデザインパネルで構成される外装(以下、外装ユニット)」と、「設置角度が可変できる太陽電池ユニット(以下、可変ユニット)」で構成されています。夏季には上下の可変ユニットを解放し、自然対流による通風により外装ユニット裏面の温度上昇を抑制することで発電効率を約4%向上させるとともに、外壁からの伝熱による冷房負荷のピーク値を約55%削減します。さらに冬季には、下段の可変ユニットのみを開放し、外装太陽電池裏面にて暖められた空気を室内に導入することで、外気取り入れにともなう暖房負荷を約48%削減します。また可変ユニットは外壁の最下段と最上段に設置し、太陽高度に合わせて発電量が最大になる角度に調整することができます。

図1 本システムの構成 (可動ユニット:95W×3×2段、外装ユニット:95W×42枚、総発電出力:4.56kW)
図1 本システムの構成
(可動ユニット:95W×3×2段、外装ユニット:95W×42枚、総発電出力:4.56kW)

 

■"創エネとファサードデザインとの調和"への取り組み

当社では昨年、曲面加工が可能なアモルファスシリコン薄膜太陽電池を用いたファサードデザインによる建材一体型太陽光発電システムを開発し、自社施設に設置しました(写真2 奥)。

このたび当社が開発したシステムは、"創エネとファサードデザインとの調和"という基本コンセプトを継承しながら、"アクティブソーラーとパッシブソーラーの融合"という新たなコンセプトを加えた、創エネと省エネを両立する機能を付加した建材一体型太陽光発電システムを開発しました(写真2手前)。

写真2.本システムの外観
写真2 本システムの外観

 

■ 今後の展開

当社は、時代とともに変化する社会からの要請に応えるために「環境ビジョン "Green Challenge 2020"」を定め、環境に関する中長期的な展望を明確にして環境に対する取り組みを強化しており、「地球温暖化の防止」と「循環型社会の形成」の両立をはかる技術開発を推進してまいります。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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