アラミドFRPロッドによるRC橋脚の耐震補強工法を開発

― 公開試験により補強効果を確認 ―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 則久 芳行)は、アラミドFRPロッドによるRC橋脚の耐震補強工法を開発し、鉄道総合技術研究所において公開試験を行い十分な補強効果を確認しました。今回開発した補強工法は、橋脚上面から作業が行えるため、河川内の大規模な仮設備が不要で工費、工期とも大幅に削減することができます。

 

■ 背景

東日本大震災では想定を超える地震動により構造物に甚大な被害が生じました。一方で、阪神淡路大震災の教訓を踏まえた耐震補強を実施した橋梁においては、落橋などの致命的な損傷を回避し震災後の早期復旧に寄与した事例も多くありました。しかしながら、河川内などの橋脚では補強工事に大規模な仮設備が必要で、費用も工期も増大することから、耐震補強が遅れているのが現状です。

 

■ 工法の概要

本工法は、既設橋脚の上端より削孔し、アラミドFRPロッドを挿入し、プレストレスを与えることにより、橋脚の曲げ耐力、せん断耐力を向上させる耐震補強工法です。作業は橋の上部工に干渉することなく橋脚上面から行えるため、仮桟橋や河川締切などの大規模な仮設備や水中作業が不要です。条件によりますが従来の工法に比べて工費、工期ともに大幅に削減できます。

アラミドFRPロッドは高強度で耐食性があり、非電導なので特に鉄道橋では安全な施工が行えます。また、柔軟で付着性も高いため施工性がよく、本工法の緊張材として適しています。

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■ 公開試験

古い橋梁に見られる鉄筋量が少ない鉄筋コンクリート橋脚を1/3程度にスケールダウンした試験体を製作し、無補強に比べて最大荷重が2倍程度に向上するように補強し、正負水平交番載荷試験によって耐震性能を確認しました。

日時 3月3日(公開試験) 4、5日(継続試験)
場所 公益財団法人 鉄道総合技術研究所 国立研究所 実験棟
試験結果

補強後の最大荷重は、無補強に比べて倍増し、変形性能も大幅に改善されました。これらより本工法による耐震性向上を確認しました。

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■ 今後の展開

本工法の開発により河川内の古い橋脚の効率的な耐震補強が可能になりました。近い将来に発生が予想される東南海地震や首都圏直下地震に備え、道路や鉄道などのライフラインの耐震補強は急務です。三井住友建設は試験で得られたデータをもとに本工法の設計・施工要領を整備し、橋脚の耐震補強に最適な工法を提案してまいります。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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