丹下健三作品 山梨文化会館を免震レトロフィット
― メタボリズムの象徴建築・山梨文化会館を免震改修 ―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井 英雄)は、丹下健三作品である山梨文化会館の免震改修工事を受注し、7月7日に安全祈願祭を執り行いました。
山梨文化会館は1966年に完成した丹下健三の代表作品の一つで、16本の円柱と梁とで支えられた存在感のある外観が特徴です。その歴史的価値からこの建物の保存や山梨日日新聞、山梨放送(テレビ、ラジオ)など山日YBSグループが入居しているため、災害時には情報発信拠点となることもあり、今回免震改修工事を行うこととなりました。
当社は元施工でもあり、また免震改修工事の数多くの実績を背景に、50年先の未来に向けて免震レトロフィット工事により、丹下建築の価値を再確認し、「山梨文化会館100年計画」に協力いたします。
山梨文化会館の外観
■ 山梨文化会館免震改修 (免震レトロフィット) 計画概要
発注者 | 株式会社山梨文化会館 |
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設計 | 株式会社丹下都市建築設計 |
施工 | 三井住友建設株式会社 |
工期 | 平成27年6月1日~平成28年12月31日 |
【建物概要】
所在地 | 山梨県甲府市北口2-6-10 |
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規模 | 地上8階地下2階搭屋4階 |
構造 | 鉄筋コンクリート造 (大梁は鉄骨鉄筋コンクリート造) |
建築面積 | 3,092 ㎡ |
延床面積 | 21,884 ㎡ |
竣工年 | 1966年(昭和41年) |
■ 山梨文化会館に採用されている免震レトロフィット
山梨文化会館に採用している改修構法は、建物地下2階の柱脚部に免震装置を設置し、外周部分の擁壁と縁を切る中間階免震レトロフィット構法です。
建物のデザインを維持し、工事中も地上階のメディアとしての情報発信機能を利用し続けられるというメリットから、地下階柱脚部に免震装置を設置し、建物全体の耐震性能を向上する免震レトロフィットを採用しました。免震装置には引張力に抵抗可能な直動転がり支承(CLB)と、天然ゴム系積層ゴム支承(NRB)と錫プラグ入り積層ゴム支承(SnRB)を、計68基を採用しています。
山梨文化会館は、外観デザインにもみられるように、16本の大きなコア柱と呼ばれる直径約5mの円筒柱により支えられ、柱1本当たりの支持荷重はおよそ24,000kN(2,400ton)です。
その内部は階段、EV、トイレ、倉庫などとして利用され、免震装置の設置工事に際しては柱脚にコンクリートを充填して免震基礎を構築し、油圧ジャッキ等により荷重の受け替えを行いながら柱を切断していきます。その後免震装置を設置してジャッキダウンし、柱の免震化工事が完了となります。
この免震レトロフィットにより、丹下建築としてのデザイン性を損なうことなく、原設計時の設計思想を踏襲し、震災時にも地域への情報発信拠点として機能することが可能となります。
今後50年先も、その時代の求める機能性とデザイン性を維持した建築として残り続けます。
■ 今後の展開
三井住友建設は、誰もが安心して暮らせる社会を実現するために新時代の"免震レトロフィット"を、今後も積極的に提案していきます。
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