地震に粘り強い 鉄筋コンクリート造耐震壁構法 「バーディウォール構法」の技術認証を取得

― マンションの戸境耐震壁をプレキャスト化 ―

■概要

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井 英雄)は、プレキャスト(PCa)化が容易で、地震時の変形性能に優れた靭性型(※1)鉄筋コンクリート造耐震壁の新構法として、「バーディウォール構法(※2)」を開発・実用化し、このほど一般財団法人日本建築総合試験所より建築技術性能証明(GBRC性能証明第15-05号)を取得しました。これにより、PCa化が困難とされてきたマンションの隣戸間の耐震壁を含めたフルPCa工法の導入が可能になり、建設工事のさらなる短工期化と構造部材の高品質化を実現しました。

一般の耐震壁とバーディウォールの比較
一般の耐震壁とバーディウォールの比較

 

開発の背景

当社では、集合住宅の躯体部材を工場で製造し、建設現場で組み立てるというプレキャスト(以下PCa)工法を導入・推進し、柱梁接合部一体型のPCa部材を用いるスクライム工法・スクライム-H工法(※3)をタワー型の超高層集合住宅に適用するなど多くの工事実績を重ねてきました。

一方、住戸を連続して配置し、長辺方向の片側を共用廊下、反対側をバルコニーとするいわゆる板状型の集合住宅では、戸境壁(耐震壁)のある短辺方向ではPCa化が困難なため、耐震壁部分は場所打ちコンクリートを打設する在来工法とするのが一般的です。

そこで当社では、PCa化が容易な鉄筋コンクリート造耐震壁の構法技術に着目し、室蘭工業大学大学院くらし環境系領域の荒井康幸名誉教授、溝口光男教授との共同研究により、壁横筋の柱への定着が不要な鉄筋コンクリート造耐震壁構法「バーディウォール構法」を考案・開発し、独自の設計・施工法を確立しました。壁横筋の柱への定着が不要になったことで、柱と壁の接合が簡略化され、壁板のPCa化が容易となりました。

今般、取得した建築技術性能証明では、「バーディウォール構法 設計施工指針」に基づき設計・施工した鉄筋コンクリート造耐震壁は、常時では使用上支障となるひび割れを、地震時には修復性を損なうひび割れを起こさず、同指針で定める終局耐力および変形性能を有することが認証されています。

 

バーディウォール構法の特長

バーディウォール構法は、以下のような特長を有しています。

  1. 建設工事のさらなる短工期化を実現:14階建てで最大約1.5か月短縮(仕上げ工事の効果を除く)
  2. 大地震時に柱の損傷を抑制し安全・安心を確保
  3. 戸境壁の収縮ひび割れが少なく、耐久性と美しさを提供

 

■今後の展開

三井住友建設では、バーディウォール構法を高品質・短工期・低コストを実現する構造方式のひとつとして位置付け、大規模中高層集合住宅開発事業などを中心に積極的な提案をしてまいります。

当社では、ますます高度化、多様化していく社会ニーズにお応えできるようさらなる技術開発を進め、より付加価値の高い建物づくりを追求していく所存です。

 

(※1) 靭性:
構造物または部材のねばり強さのこと。外力を受けた構造物が弾性範囲を超えても柔軟に変形し、エネルギーを吸収する能力

(※2) バーディウォール構法:
RC WALL system without the anchor of horizontal reinforcing BARs for DIEt of 1-process
(差し筋や接合筋などの作業工程が簡略化できる一打少ない合理化壁構法)
室蘭工業大学大学院 荒井康幸名誉教授、溝口光男教授との共同研究により開発

(※3) スクライム工法
スクライム-H工法
(スクライム工法・スクライム-H工法はLRV・LRV-H工法(大林組)との工法統一を行い、両社共同にて特許を保有・出願)

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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