"Tボーン耐震改修工法"を用いた耐震補強工事が完成
― 住民が居住しながら短期間で耐震補強を完了 ―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井 英雄)は、1980年竣工の東京都港区に建つ旧耐震基準マンション(※1)で、"Tボーン耐震改修工法(※2)"を用いた耐震補強工事を完成させました。 "Tボーン耐震改修工法"は、マンションのバルコニー外壁面に外付けの鉄骨造T字形補強フレーム(Tボーン補強フレーム)を設置することで、既存建物の耐震性を向上させる工法です。バルコニー側からの作業が主となるため、住民が居住しながらの耐震補強が可能で、施工後も居住空間の快適性を損ねないことが特徴です。
(※1) 昭和56年6月以前に着工された古い耐震基準によるマンション
(※2) "Tボーン耐震改修工法"は三井住友建設の特許工法 特許第5717284号
図-1 補強工事完了後のマンション外観
■ Tボーン耐震改修工法の特徴
(1) Tボーン補強フレームにより既存建物の耐震性が向上
Tボーン耐震改修工法はTボーン補強フレームをバルコニー側外壁面に設置することで、補強フレームが既存建物と一体化して地震時のエネルギーを吸収し、耐震性を向上させる工法です。旧耐震基準マンションのうち、1/3程度を占める耐震指標Is値0.5以上の建物(当社調べ)に有効です。また、工事のための確認申請等の法的手続きは不要です。
(2)住民が居住しながらの施工が可能
Tボーン補強フレームは外部からバルコニー内に吊り込んで設置し、住戸内での作業は原則発生しないため、住民が居住しながらの施工が可能です。従来の外付け架構増設方式では、工事期間が長いため改修費用が高くなる傾向にありますが、本工法はバルコニーでの作業が主となるため、これまでより期間が短く低コストで施工が可能です。
(3) 外観に影響を与えず眺望も確保
Tボーン耐震改修工法は建物外側に部材が突き出さないため、既存建物の外観に大きな影響を及ぼすことなく、建物周りの空地が狭くなることもありません。当時主流だった、バルコニー側に2つの居室が並び各々のサッシ間に壁のある住戸平面プランを活かした形状としているので、居室からの眺望や使い勝手にもほとんど影響を与えず、快適性を確保したまま耐震性能を向上させます。
図-2 設置されたTボーン補強フレーム
"Tボーン耐震改修工法"が採用されたマンションの概要
建物名 | ニューカナール |
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所在地 | 東京都港区芝2丁目 |
延床面積 | 3,608.53m2 |
構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 (7階以上は鉄筋コンクリート造) |
規模 | 地上10階建て 住戸数41戸(賃貸) 貸事務室3室 |
竣工年月 | 1980年9月 |
耐震改修設計施工 |
三井住友建設株式会社 |
■ 今後の展開
"Tボーン耐震改修工法"は、旧耐震基準マンションに代表される耐震性を満たさない建物に居住される方々に対して、早く・安く・簡便に耐震補強を施した安全な住宅を提供することを目指して開発したものです。今後もこのような技術開発を通じて、より一層のマンションの価値向上に寄与すべく、安全・安心・快適な住まいの創造を、当社は目指し続けていきます。
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