液状化による地盤流動を抑制する"流動閉塞杭"の設計・施工手法を確立

― 港湾空港技術研究所、東京大学との共同研究、実地盤での施工試験実施 ―

  三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井 英雄)は、地震などによる液状化に伴う地盤の側方流動を抑制する"流動閉塞杭"の現場適用を目指し、港湾空港技術研究所および東京大学との三者による共同開発を行い、重力場での振動実験や遠心模型実験などを経て、今回、実地盤において施工試験を実施し、流動閉塞杭配置の柱状改良体と地盤表層の改良体を組み合わせた構造体として、現場適用の実用化に向けた設計および施工手法を確立しました。

 

■  実地盤における施工試験の実施
 柱状改良体と表層改良体の施工性を確認するために、当社技術研究所敷地内の実地盤にて施工試験を実施しました。試験の結果、硬化後の表層改良体に対する柱状改良体の施工性に問題はなく、また、良好な一体性が得られることを接合部の強度試験により確認しました。

実地盤における試験実施状況
実地盤における試験実施状況
完成した流動閉塞杭
完成した流動閉塞杭
切り出しモデルによる接合部強度試験
切り出しモデルによる接合部強度試験

■  "流動閉塞杭"の特長
 流動閉塞杭配置の柱状改良体と地盤表層の改良体を組み合わせた構造体となり、特徴は次の通りです。

(1)柱状改良体と表層改良体との組み合わせ
 二つの改良体を組み合わせた構造にすることにより、表層改良体は柱状改良体に支持されるため、地震直後も改良地盤上部を供用することが可能です。

流動閉塞杭のイメージ

(2)従来工法等との比較
 流動閉塞杭配置(図(a))は、深層混合処理工法における新たな配置方法で、従来の配置方法である整列配置(図(b))や千鳥配置(図(c))と異なり、一定間隔(s)で正方形に配置された柱状改良体4本を1つのグループとし、その中心をX方向およびY方向に2sまたは s/2の距離でずらしながら配置するものです。
 どの方向を見てもある一定の範囲に柱状改良体が存在する配置であり、地下水の流れは妨げず、地盤の流動は抑制することができるため、側方流動に対する抑制効果が高まります。

柱状改良体の配置方法比較

 

■ 遠心模型実験
 港湾空港技術研究所において、流動閉塞杭の側方流動抑制効果を確認するための遠心模型実験を実施しました。その結果、流動閉塞杭は無対策に対して側方流動量を20~25%程度に抑えることを確認しました。なお、従来の配置方法である整列配置や千鳥配置と比較して流動閉塞杭は変位抑制効果が20%程度高いことも確認しました。また、実験結果の解析と設計手法の妥当性確認のための実験を実施して、設計手法を確立しました。

無対策の場合
無対策の場合
(実験前の模型地盤)
流動閉塞杭の場合
流動閉塞杭の場合
(流動閉塞杭)

地盤の流動状況

   地盤の流動状況(対策無し) 地盤の流動状況(流動閉塞杭)           

 

■ 今後の展開
 遠心模型実験に基づく設計手法の確立と、実地盤における施工試験を経て「技術マニュアル」を作成し、その実用化の目途をつけました。今後、護岸背後地盤や埋立地、堤防などの側方流動対策として積極的に利用を促していく方針です。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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