配筋位置の自由度を高める「Liber-T工法」を開発・適用
―基礎梁下部の逆T形断面化による拡幅で施工性が向上―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井英雄)は、基礎梁の下部を部分的に拡幅し、逆T形断面とする基礎梁工法「Liber-T工法※」(特許出願中)を開発しました。
本工法は、鉄筋が密に交錯しがちな柱-基礎梁-杭接合部において、基礎梁下端主筋の配筋位置の自由度を高めることによって、施工性を向上させ、コンクリートの打設を確実にするものです。本工法は、採用物件にて構造性能評価を取得し、現在施工中のマンション工事(RC造)に初適用しました。
(※) Liber-T : 配筋の「自由」度を高める、杭頭補強筋等との干渉から「解放」を意味する「Liberty」と、基礎梁の形状が逆T形になることをあわせた造語。
Liber-T工法 イメージ図 |
(従前の配筋) (Liber-T工法の配筋) 基礎梁配筋の比較 〔断面図〕 |
■ 背景
近年、高い支持力を有する杭の開発により、杭径の小断面化が進んでいますが、一方で杭頭部の補強筋が過密になり、基礎梁主筋の配筋スペースが確保できないケースも多く生じていました。そのため、設計時に鉄筋の納まりに十分な余裕を持たせるために基礎梁幅を一様に大きくし、鉄筋配置の段数を増やす対応をしていますが、鉄筋間隔が比較的小さい場合には、鉄筋工事およびコンクリート打設工事の施工の難度が高くなっていました。
■ 本技術の特徴
Liber-T工法は、基礎梁の下部のみを逆T形状に拡幅し、柱-基礎梁-杭接合部における各鉄筋の過密さを緩和する工法で、以下のような特徴があります。
- 基礎梁下部を拡幅することにより、杭径の外側にも基礎梁主筋を配置できるため、基礎梁幅を全体に大きくすることなく、基礎梁主筋の配筋作業が容易に行えるようになります。
- 配筋の過密さが緩和されるため、コンクリートの充填性がより確実になり、品質向上に寄与します。
- 梁幅を全体に大きくする従来の基礎梁に比べて、基礎梁上部の幅を小さくできる場合があります。
- 施工コストは、従来工法と同等程度です。
基礎梁配筋の比較 〔平面図 |
基礎梁の配筋状況 |
■ 今後の展開
本技術は、集合住宅に関わらずあらゆる用途の建物に適用可能なため、汎用性の高い工法として更なる改善を図ってまいります。
基礎躯体は、地上躯体に比べて部材形状が大きいことなどから、工法の選択肢が比較的少ない部位とされていますが、今後も高品質と生産性向上に寄与する工法メニューを拡充させ、基礎構造の技術開発を推進してまいります。
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