『橋梁3次元モデル作成システム(SMC-modeler)』を開発・適用
―3次元化作業時間が週単位から分単位へ大幅に削減―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井 英雄)は、プレストレストコンクリート橋(以下、PC橋)の3次元モデルを高精度かつ簡易に作成することができる 『橋梁3次元モデル作図システム(SMC-modeler)』* を開発し、実用化しました。
なお、今回開発したシステムは国道45号夏井高架橋工事(岩手県久慈市)に適用しています。
■ システムの概要
PC橋は縦断・横断勾配や曲線の道路線形を有しており、断面形状も幅員や部材厚が部位ごとに異なっています。従来はこの複雑な構造の3次元モデルを作成するために、高度なCAD技術が必要で作業には2~3週間を要しました。そこで3次元モデルを効率良く高い精度で作成することを目的として、設計段階で使用する線形と断面形状の座標データを用いて3次元モデルを自動作成する『橋梁3次元モデル作図システム(SMC-modeler)』を開発しました。これにより作業に要する時間は数分程度となり、大幅な業務の効率化を実現しましました。
従前のCAD作業と本システムとの比較イメージ |
■ システムの効果
作成した3次元モデルは、線形情報などの座標データで作成することから、架橋位置をドローンなどで計測した地形に正確な位置に重ね合わせることができ、現地の地形と構造物の整合を容易に確認することができます。
また、主桁の補強に使用するPC鋼材や配水管など、PC橋を構成する各部材を高精度で自動的に3次元化できるため、施工計画の検討や部材間の干渉チェックを迅速かつ確実に行うことができます。
本システムで作図した橋梁3次元モデル |
地形情報との合成図(国道45号夏井高架橋工事) 発注者:国土交通省 東北地方整備局 |
■ 今後の展開
本システムで作成した3次元モデルを各種ICT技術に組み合わせ、橋梁の設計、施工管理、維持管理における当社独自のトータル建設マネジメントシステム(DCM)において積極的に活用し、更なる橋梁建設の効率化と品質向上を目指してまいります。
*本システムは、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社のC-modelerを当社用にカスタマイズしたものです。
【参考】
■ 三井住友建設のトータル建設マネジメントシステム(DCM)
建築分野のBIM(Building Information Modeling)/土木分野のCIM(Construction Information Modeling)技術を用いたトータル建設マネジメントシステム(DCM)(DIM/CIM/MIM)で、設計・施工・維持管理までの一連における高度な品質マネジメントを実現します。
(1)設計/DIM (Design Information Management)
3次元モデルは、テキストデータから自動で容易に作成できることから設計作業中において各部材の干渉確認、細部構造の確認が可能となり設計品質の向上が図れるとともに、数量の算出も効率的かつ正確に行えます。
(2)施工管理/CIM (Construction Information Management)
正確な橋梁3次元モデルとドローンなどで計測した地形情報を組合せることで、精度の高い施工シミュレーションが可能となります。構造物の出来形計測結果などを本データと組み合わせることで、施工管理の高度化も可能となります。
(3)維持管理/MIM (Maintenance Information Management)
橋梁の完成後の維持管理に必要な施工時の品質管理記録や供用後の点検記録を3次元モデルに属性データとして付与することにより維持管理の効率化を図ることが出来ます
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