『インテリジェントパイプクーリングシステム』を開発・適用

― より確実なコンクリート構造物の温度ひび割れ対策 ―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井 英雄)は、コンクリート構造物における温度ひび割れ対策のひとつである「パイプクーリング」において、実際の施工状況に応じて通水温度を自動制御する『インテリジェントパイプクーリングシステム』を開発しました。本システムは、東北地方における大型水門工事のコンクリート壁(カーテンウォール)の施工で適用し、その実用性が確認されました。

東北地方の大型水門カーテンウォールでの施工状況
東北地方の大型水門カーテンウォールでの施工状況

■ 開発の経緯とシステムの概要

コンクリート構造物ではセメントの水和熱(セメントと水との反応熱)に起因した温度ひび割れが問題になる場合がありますが、その対策方法は一般に設計や施工計画の段階で決定されるため、施工時における気象条件の変化などには対応できず、必ずしも計画通りの制御効果が得られないことがありました。

そこで、当社は予めコンクリートに埋め込んだパイプに冷水や空気を流して冷却するパイプクーリングに着目し、コンクリート打設後に実測する温度と事前の温度応力解析結果をもとに通水温度を自動制御する『インテリジェントパイプクーリングシステム』を開発しました。

本システムにより、施工時のコンクリート温度や外気温などが変化した場合でも、パイプクーリングの通水温度を適切に調節することにより、計画したひび割れ制御効果を確実に得ることが可能になりました。

システム概要図
システム概要図
水温制御概念図
水温制御概念図

 

現場での設置状況
現場での設置状況

 

■ システムの特徴

(1)完全自動制御
水温自動制御装置に事前の温度応力解析の結果による制御目標温度を設定するだけで、通水温度を自動調節する制御システムです。コンクリート温度のモニタリング値に異常が生じた場合に通知して手動で通水温度を調節する(モニタリング+警報)システムとは異なり、自動で制御することにより迅速かつ確実な制御が可能で、省力化も図れます。

(2)混合方式による水温調節
水温の調節はチラーユニット(水冷却装置)のみでも可能ですが、冷却に時間を要し、迅速な制御が行えない可能性があります。そこで、常温水(水の循環使用により温度が上昇します)に低温水(常温水よりも低い温度の水:常温水-10℃程度)を混合する方式を採用することにより、水温調節のレスポンスを高めました。常温水と低温水を瞬時に切替えることにより、急速冷却や過冷却防止が可能になります。

■ 今後の展開
『インテリジェントパイプクーリングシステム』は、温度ひび割れ制御対策を必要とする全てのコンクリート構造物において、より確実なひび割れ制御が期待でき、管理の省力化も図れます。

当社では、本システムの適用拡大を図るとともに、コンクリート構造物の更なる高品質化を目指し、システムの汎用化と高機能化に取り組んでまいります。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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