重量床衝撃音を低減させて室内の静ひつ性を高めるTMD内蔵スラブを開発
―重量床衝撃音低減「SSTボイド工法」―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井 英雄)は、金沢工業大学と油化三昌建材株式会社との共同で、コンクリートスラブ内部にTMD(※1)を埋め込み、重量床衝撃音を低減させて室内の静ひつ性を高める「SSTボイド工法」(※2)を開発しました。
(※1) TMD = 同調質量ダンパー(Tuned Mass Damper)の略称。 振動する対象物(ここではコンクリートスラブ)に付加した質量体(おもり)が、床の振動に共振することで振動を抑制する装置。 (※2) SST:Silent Slab using TMD, 特許出願中 |
![]() TDMのイメージ |
■ 開発の経緯と本技術の概要
集合住宅やホテルなどの室内の静ひつ性を求められる場所では、人の歩行や飛び跳ね等による重量床衝撃音を小さくする必要があります。その方法としては、スラブを厚くすることによってスラブの振動を抑えることが一般的に行われていますが、建物重量増加やコストアップの原因となっています。
今回開発したSSTボイド工法は、スラブのボイド材として一般的に使用されている発泡スチロール(EPS)の内部におもりであるコンクリート板を包み込みTMDを構成しました。EPSとコンクリート板の接触部の形状を工夫することで、床衝撃音が問題となる周波数域での振動を低減しています。
1/3縮尺実験によりTMDを設置したスラブの振動低減効果を確認し、さらに実寸試作モデルによる固有振動数確認実験によりTMD内蔵ボイドの妥当性を検証しています。
![]() TMD内臓スラブ断面(イメージ) |
|
![]() 1/3縮尺模型実験状況 |
![]() 実寸試作モデル / 固有振動数実験状況 |
■ 特徴
[1] 施工性
ボイドスラブで使用しているボイド材と同じ形状とすることで、通常のボイドスラブを施工する場合と同様の施工性を実現しました。
また、従来の建築現場で使用されている材料(ボイドスラブ部材として使用されているEPSとコンクリート)を構成材としているため、安価に構築ができます。
[2] 効果
TMD内蔵スラブを使用することで、重量床衝撃音性能を1ランク(5dB)以上の改善が可能です。これは250mm厚のTMD内蔵スラブで330mm厚のボイドスラブと同等の性能を実現できます。
一般的なボイドスラブにおけるボイド材の設置状況
一般的なボイドスラブとTMD 内蔵スラブとの断面比較 (イメージ図)
■ 今後の展開
今後、実断面模型を制作し効果を実証後、集合住宅に展開する予定です。
また、当社は本システムを含めた様々な技術開発を通じて、より一層の建築物の価値向上に寄与すべく、安全・安心・快適な空間づくりの創造を目指していきます。
<お問い合わせ先>
リリースに記載している情報は発表時のものです。