死角0(ゼロ)の斜張橋ケーブル点検ロボットを開発

―ケーブル最頂部から自動制御で等速降下しながらケーブル全周をくまなく撮影―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井 英雄)は、茨城工業高等専門学校と山口大学と共同で、UAV(無人航空機)を用いて斜張橋のケーブル最頂部から自動制御で等速降下しながらケーブル全周をくまなく撮影する点検ロボットを開発しました。

 

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【開発した斜張橋ケーブル点検ロボット】


【実証実験中】
『UAVは、撮影ユニットを最頂部まで打ち上げた後、分離します。
撮影ユニットは降下速度を自動調整し、点検します。
斜材保護管のつなぎ目等の小さな段差も乗り越えることができます。』

 

通常、斜張橋ケーブルの点検は、望遠目視や高所作業車を用いた近接目視、ロープを用いて点検員が主塔から降下しながら直接目視する点検などが行われていますが、点検可能な高さ制限や安全対策、交通規制の実施などに加え、点検手法によってはケーブル上部などに死角が生じてしまう課題がありました。

本点検ロボットは、ビデオカメラと自動制御装置を組み合わせた撮影ユニットと、UAVの昇降ユニットによって構成されています。UAVによってケーブルを上昇した点検ロボットは、最頂部にて両ユニットが切り離され、自由落下する昇降ユニットに続き、自動制御された撮影ユニットが等速降下しながら4台のビデオカメラによってケーブル全周をくまなく撮影するため、斜張橋の高さに関係なく死角0(ゼロ)の点検を可能にします。

 

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【ケーブルの点検方法イメージ】

 

■ 本点検ロボットの特徴

(1) パノラマ画像により点検後すぐにケーブル損傷部位の確認が可能

撮影ユニットに搭載された4台のビデオカメラは、1台あたり120°の範囲を撮影し、同時に、移動量計測装置は、ロボットの移動距離と回転角度を記録します。撮影した動画(画像)は地上部での回収後すぐに画像結合システムによりパノラマ画像化することができるので、その場でケーブル損傷の部位と程度を確認することができます。

(2) 点検作業の効率化・省力化を実現

点検は自動制御された撮影ユニットが等速降下しながら行うため、複数の撮影ユニットを用いて1台の昇降ユニットによる上昇作業を繰り返すことで、複数のケーブルを短時間で点検することができます。

 

■ 今後の展開

斜材点検ロボットは橋梁のケーブルを安全かつ短時間にくまなく点検するため、損傷の有無を把握するスクリーニングに最適です。今後は橋梁の点検・評価業務の効率化に向けて、実橋への適用を推進していきます。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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