FBG光ファイバーモニタリングシステムで橋梁の現場検証を開始
―富山市と研究協力協定を締結し、産官学共同で検証―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井 英雄)は、橋梁維持管理業務の効率化・省力化を目的に、FBG光ファイバーセンサを活用したモニタリングシステムを開発しました。富山市と2016年に橋梁維持管理に関する研究協力協定を締結し、供用中の実橋において検証を開始しています。モニタリングにより得られた点検データは、神戸大学森川英典教授との共同研究により、信頼性理論に基づく評価を行い、橋梁の健全性を検証していきます。
【FBG光ファイバーセンサを配置した橋梁】
■ 長期的なモニタリング実施の背景
2014年(平成26年)の道路法施工規則の改正により、橋長2m以上のすべての道路橋に近接目視点検が義務付けられるなど、橋梁の老朽化対策が本格始動しました。限られた予算と人員で、今後ますます膨大化する老朽化橋梁の維持管理を持続的に行うためには、画期的な効率化による生産性向上策が不可欠であり、マニュアル的な仕様規定から性能規定型の新しい維持管理手法への転換が求められています。
また、ISO2394(※)を始めとする国際規格では、既存橋梁の健全性評価には確率論的な信頼性理論の導入が求められています。そのためには、センサモニタリングを活用し、構造物の状態データに加え、交通量や気象といった作用データを継続的に取得したビッグデータ分析が期待されます。
(※)構造物の信頼性に関する一般原則
■ FBG光ファイバーモニタリングシステムの概要と特徴
構造物の点検・診断にセンサモニタリングが有効ですが、センサの耐久性が課題となっていました。そこで当社では、経年劣化の懸念がある材料を一切使用しないFBG光ファイバーセンサを採用し、これらの課題を克服するモニタリングシステムを開発しました。
本システムは、当社の橋梁設計・施工の豊富な実績に基づきピックアップした重要点検箇所に、このセンサを配置し、その状態・挙動を連続性のあるデータとして把握することで、マクロ的に既存橋梁の健全性を評価できます。初期コストは現行の近接目視点検と同程度を要しますが、データ収集時の作業用足場の設置や交通規制が不要で、橋梁専門技術者が不在でも容易に作業が可能であることなど、ランニングには大幅なコスト削減と省力化、効率化を図ることができます。
【FBG光ファイバーセンサ】 |
■ 今後の展開
本システムでは、構造全体系としての異常の有無を検知する目的のほか、異常がない場合のコンセンサスを得るためのツールとしての役割が重要と考えています。これらシステムの妥当性、有効性、費用対効果を検証し、橋梁維持管理の省力化を実現する新しい手法として活用されることを目指していきます。
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