トンネル用低周波騒音低減装置「レゾウォールサイレンサー®」をユニット化
―組立作業の省力化と設置精度の向上を実現し、あらゆるトンネル工事での使用が可能に―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井 英雄)は、自社開発して山岳トンネル工事等で展開している低周波騒音低減装置「レゾウォールサイレンサー」(Resonance Wall Silencer)をユニット化し、宮古盛岡横断道路 簗川トンネル工事において適用しました。
レゾウォールサイレンサーのユニット化により、現地での組み立て作業の軽減による省力化と設置精度の向上に加え、従来と同等以上の低周波騒音低減効果を確認しました。
《簗川トンネル工事概要》
工事名称 | : | 宮古盛岡横断道路 簗川トンネル工事 |
発注者 | : | 国土交通省 東北地方整備局 |
工事場所 | : | 岩手県盛岡市簗川第4地割 |
施工者 | : | 三井住友・岩田地崎特定建設工事共同企業体 |
工事概要 | : | トンネル延長 1,576m、掘削断面積 100.9m2、仕上がり断面積 87.6 m2、車道幅員 12m |
■ 低周波騒音対策として開発したレゾウォールサイレンサー
トンネル工事での発破により発生する低周波騒音は、周期が長く、遮音壁などでもあまり減衰せず遠方までその影響が及びます。そこで当社では、トンネル進行方向に等間隔のスリットを有する吸音隔壁を組み立て、切羽側隔壁と防音扉、吸音隔壁で囲まれたトンネル内空部分を共鳴空間として利用して、低周波音を吸音吸収する装置を開発し、これまでに実工事で適用してその効果を確認してきました。
■ ユニット化したレゾウォールサイレンサーの特長と効果
【1】設置作業時間の短縮と施工精度の向上
2種類の高さ(1mと2m)のユニットは、トンネル断面に合わせて1m単位での設置が可能で、トンネル構内での運搬性と容易な組立により、設置時間の短縮と施工精度の向上を実現しました。
また、ユニット化により部材の再利用が可能となり、導入コストを大幅に削減しました。
【2】異なる周波数帯に対応
隣接するユニット間の距離(スリット幅)を調整することで、低減させたい低周波騒音の周波数帯を自由に設定することができます。また、スリット幅を左右の吸音隔壁で個別に設定することで、異なる低周波帯を低減させることも可能です。簗川トンネル工事では、20Hzと10Hzの周波数帯を設定し、20Hz付近では約9dB(エネルギー比で90%弱減)、10Hz付近では約4dB(エネルギー比で約40%減)の従来と同等以上の低減効果を得ました。
【3】トンネル内作業員の安全性向上
ユニットの厚みは500mmと薄く、レゾウォールサイレンサー背後に設けられた共鳴空間を安全通路とすることで歩車分離が確実にでき、トンネル内の作業員の安全性向上を図ることができます。
【ユニット】 |
【共鳴空間 (安全通路)】 |
■ 今後の展開
当社は、低周波騒音対策が必要なトンネル工事において、レゾウォールサイレンサーを積極的に提案し、周辺環境の改善に努めてまいります。また、更なる低減効果を向上させるための研究開発を引き続き実施してまいります。
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