構造タンパク質を用いた建設分野の新素材・技術開発に着手

―持続可能な社会の実現を目指すSpiberと共同研究契約を締結―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井 英雄、以下「三井住友建設」)は、Spiber株式会社(山形県鶴岡市覚岸寺字水上234番地1 取締役兼代表執行役 関山 和秀、以下「Spiber」)と、構造タンパク質を用いた建設分野を中心とする新素材、新技術の開発に向けて共同研究契約を締結しました。

今日の社会において、企業は自らの事業活動における環境負荷の低減はもとより、提供する製品・サービスにおけるライフサイクルを考慮し、脱炭素社会、循環型社会、自然共生社会への貢献を目指した取り組みが求められています。Spiberが研究開発を進める構造タンパク質は、植物資源をベースとした発酵プロセスにより生産され、繊維への加工はもちろん、樹脂、フィルム、ゲルへの加工、そして既存樹脂等との組み合わせによる複合材料への展開も可能なため、持続可能な基幹素材としてアパレルや輸送機器をはじめ様々な用途での活用が期待されています。

三井住友建設は、安全で快適な街をつくり、そこで暮らす人々の生活や取り巻く自然環境を守る「ものづくり」を使命とする自社の事業において、100年を超える高耐久なコンクリート構造物を構築する技術や、環境負荷の低減と快適な居住空間の維持を両立する技術等、土木・建築分野において持続可能な社会インフラ技術の開発に力を注いでまいりました。本共同研究では、これらのフィールドで培った技術・ノウハウを活かしながら、多種多様な特性や形態の材料を設計し得るSpiberが開発する構造タンパク質とその技術を活用し、持続的な社会を実現するための用途拡大を目指します。生物の進化の過程で生み出された様々な機能や特性を有するタンパク質を、無限の組み合わせの中から目的に応じてデザイン・選抜して使いこなしていく技術開発により、持続可能な社会に貢献する、これまでの概念を大きく超えた技術とソリューションの創出を推進してまいります。

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

 

 

<Spiber 会社概要>

商号: Spiber 株式会社
本社所在地: 山形県鶴岡市覚岸寺字水上234番地1
代表者: 関山 和秀(取締役兼代表執行役)
設立: 2007年9月
事業内容: 新世代バイオ素材開発

 

Spiberは、持続可能な次世代の基幹材料として期待されるタンパク質素材の産業化を目指して、2007年に設立されたスタートアップです。創業者である関山和秀と菅原潤一が2004年から慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)で取り組みはじめたクモ糸人工合成の研究成果を活用し、独自の構造タンパク質素材「QMONOS®」を開発、世界に先駆けて量産技術の確立に成功しました。本素材は、化学繊維のように主な原料を石油に頼ることなく、Spiber独自の技術によって多種多様な特性や形態の材料を設計することが可能です。今後アパレルや自動車分野などでの展開を見込み、構造タンパク質の本格的な量産化に向け、タイ国に大規模な発酵プラントを建設し、2021年の商業生産を目指しています。

 

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Spiberの構造タンパク質素材の一例

 

■ Spiberが開発を行う構造タンパク質

タンパク質は20種類のアミノ酸が任意の長さ・並び方で直鎖状に繋がった生体高分子であり、生命体を構成するもっとも重要な材料のひとつです。ほぼ無限に存在するアミノ酸の組み合わせパターンから様々な機能や特性を持ったタンパク質が進化の過程で生み出され、複雑で多様な生命システムを支えています。タンパク質には酵素や抗体のように生理的な役割を果たすものと、細胞骨格やクモの糸のように構造的な役割を果たすものがあり、後者は一般的に「構造タンパク質」と呼ばれています。毛や爪などを構成する「ケラチン」や、骨、皮膚などを構成する「コラーゲン」も構造タンパク質のひとつと言えます。

Spiberが独自に開発を行う構造タンパク質は、ほぼ無限の組み合わせの中から目的に応じてデザイン・選抜され、微生物による発酵プロセスで生産されます。本素材は、化学繊維のように主な原料を石油に頼ることなく、Spiber独自の技術によって多種多様な特性や形態の材料を設計することが可能です。

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