多層階の揺れを一括して制御する「揺動制震システム」の実用化に目処
― 制振ダンパーの効率的な配置方法でレジリエントな構造物へ ―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井 英雄)は、国立大学法人広島大学大学院工学研究科建築学専攻 田川 浩教授と共同で、地震発生時における多層階での揺れを一括して制御する「揺動制震システム」(※1)の実用化に目処を付けました。
本システムは、制振ダンパーが有する減衰性能を新たな配置方法で効果的に発揮させるもので、当社技術研究所(千葉県流山市)にて実大規模の加振実験を行い、優れた制振性能を確認しました。
(※1)特許出願中
【「揺動制震システム」の動き(イメージ/左)と加振実験の様子(右)】
■ 本システムの概要と特長
本システムは、建物の多層階に渡って架設するタイロッド部、地震時の揺れを吸収する制振ダンパー部、制振ダンパーを安定して動作させる揺動機構部より構成されています。座屈拘束部材を用いた従来の制振構造に比べ、設置個所を削減ができ、制振性能を向上させることが可能です。
特長は、以下のとおりです。
- 揺動機構部により制振ダンパーの復元力を安定させるとともに大きな変形を生じさせるため、制振ダンパー本来の性能を最大限に引き出します。
- タイロッド部を複数層に掛け渡すことにより、各層の変形を一箇所に集中させるため、制振ダンパーを有効活用できます。
- 揺動機構部とタイロッド部の運動を活用することにより、細いタイロッド部材で多層階への架設が容易にできます。
- 各種制振ダンパーとの組み合せが可能であり、目的に応じた制振ダンパーを選択できます。
【従来の制振構造(左)と「揺動制震システム」(右)の比較】
■ 今後の展開
当社では、持続可能な社会の実現に向けたサスティナブルな技術開発など、SDGsに対応するための取り組みを推進しています。今後は、倉庫、工場、生産施設等の様々な構造物に対し、新築、改築時に本システムの積極的な提案を行い、大地震時における構造物の破壊や倒壊を防ぐだけでなく、構造物内の資産を守るとともに、地震後の継続使用が可能なレジリエントな構造物の実現に取り組んでまいります。
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