橋梁の床版取替工事の設計支援プログラム「SMC-Slab」を開発・適用

― 構造寸法図の作成時間を 1/3 に短縮 ―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井 英雄)は、橋梁の大規模更新事業の床版取替工事において、構造寸法図の作成時間を 1/3 に短縮する設計支援プログラム「SMC-Slab」を開発しました。
そして、中国自動車道(特定更新等)蓼野第二橋他3橋床版取替工事で初適用し、以後の床版取替工事の設計作業への適用を始めています。

■「SMC-Slab」の概要と効果

床版取替工事における構造寸法図の作成では、既設橋梁の紙図面からの電子化(CADデータの作成)、工場製プレキャスト(PCa)床版などの情報(寸法や形状)と既設橋梁の現地測量データの入力や描写を、全て手作業で行っています。これらの作業では、PCa床版の割付や設置高さ、排水桝などの付属物の配置などの検討を繰り返し行うため、これまで多くの時間を要してきました。

このたび開発したプログラムは、汎用表計算ソフトに入力した上記の各種情報をCADソフトに取り込むだけで、自動的に構造寸法図が作成できます。また、自動作成された図面の修正や微調整、繰り返し行う検討作業は、再度データを取り込むだけなので、従前の作成時間と比べて 1/3 に短縮できます。

 

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【SMC-Slabのシステムのイメージ図】

■ 工事概要

工事名 : 中国自動車道(特定更新等)蓼野第二橋他3橋床版取替工事
発注者 : 西日本高速道路株式会社 中国支社
施工者 : 三井住友建設株式会社・株式会社日本ピーエス 特定建設工事共同企業体
工事場所 : 島根県鹿足郡吉賀町蓼野
工期 : 2019年11月15日~2022年8月30日
工事概要 : 床版取替工、床版防水工、落橋防止装置、支承取替工

 

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■ 今後の展開

今後は、本プログラムに3次元モデルの自動作成機能を追加し、PCa床版の設置作業時の設計図と実配置の可視化による施工の効率化や精度の向上を図ります。また、PCa床版の配筋図の自動作成プログラムの開発を進め、設計業務の更なる効率化を図ります。

当社では、設計、施工、維持管理に至るトータル建設マネジメントシステム(DCM)の構築に取り組んでおり、その一環として「SMC-Slab」を活用した大規模更新事業における「i-Construction 」、「i-Bridge」を展開してまいります。

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

 

■ 三井住友建設のトータル建設マネジメントシステム(DCM)

建築分野のBIM(Building Information Modeling)/土木分野のCIM(Construction Information Modeling)技術を用いたトータル建設マネジメントシステム(DCM)(DIM/CIM/MIM)で、設計・施工・維持管理までの一連における高度な品質マネジメントを実現します。

 

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(1) 設計/DIM (Design Information Management)

3次元モデルは、テキストデータから自動で容易に作成できることから設計作業中において各部材の干渉確認、細部構造の確認が可能となり設計品質の向上が図れるとともに、数量の算出も効率的かつ正確に行えます。

(2) 施工管理/CIM (Construction Information Management)

正確な橋梁3次元モデルとドローンなどで計測した地形情報を組合せることで、精度の高い施工シミュレーションが可能となります。構造物の出来形計測結果などを本データと組み合わせることで、施工管理の高度化も可能となります。

(3) 維持管理/MIM (Maintenance Information Management)

橋梁の完成後の維持管理に必要な施工時の品質管理記録や供用後の点検記録を3次元モデルに属性データとして付与することにより維持管理の効率化を図ることが出来ます。

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