PCa工場の製造管理システム「PATRAC-PM」の機能拡張
― クラウド化とセンシング技術で更なる生産性向上 ―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 近藤 重敏)は、超高層マンション等に用いるプレキャスト(PCa)部材の製造工場(※1) の製造管理システム「PATRAC-PM」(※2) において、クラウド化とセンシング技術による機能拡張を行いました。
これにより、屋内外での作業員や部材の測位精度の向上と取得可能なデータ範囲を拡大させ、より詳細な製造ラインの稼働状況と生産実績の可視化を実現し、更なる生産性向上を図ります。
当社では、PCa工場でのIoT(モノのインターネット)を活用した次世代PCa生産管理システム「PATRAC」(※3) の開発と導入により、高品質化と生産性向上に取り組んでいます。
(※1) SMCプレコンクリート株式会社(当社グループ会社)茨城工場
(※2) 「PATRAC-PM」(パトラック-ピーエム/Precast Automatic TRACing system-Production Management)
作業員位置情報をリアルタイムで識別し、PCa工場の製造プロセスを最適化(2019年05月20日リリース)
(※3) IoTを活用した次世代PCa生産管理システム「PATRAC」の開発に着手(2018年12月18日リリース)
【拡張した「PATRAC-PM」の全体イメージ図】
■ 機能拡張した「PATRAC-PM」の特徴
PCa工場では、場内の各所で材料や工具の運搬、部材の製作、製品検査などの作業が行われ、常に多くの作業員と部材が移動しています。そのため取得するデータ量は膨大で、作業員と部材が密集する場所では各作業者がどの部材に対して作業を行っているかなど詳細な判別も難しく、従来の測位方法ではデータの抽出と加工に限界がありました。
そこで、以下のとおりシステムの機能を拡張しました。
- 測位技術にQuuppa Intelligent Locating System(※4) を用い、Patt Plus(※5) の機能であるDynamic Geofence技術(※6) を活用して位置情報と生産情報を関連づけました。これによって屋内外で製造工程と共に変化する大容量の作業データの取得が可能になりました。
- これまで作業員のヘルメットに装着していたBLE(※7) タグを部材にも設置することで、部材同士が密集しているエリアでも、得られる測位情報から部材別の作業実績を高精度かつ正確に取得することが可能になりました。
- システムのクラウド化(※8) とビジネスインテリジェンス(BI)ツール(※9) によって、取得した膨大な作業データをWebブラウザ上で可視化・分析することが可能になりました。
(※4) Bluetoothをベースとした電波の到達角度による測位技術(AoA(Angle of Arrival)方式)、Quuppa社製
(※5) 工場内など人の動きやモノの滞留時間をリアルタイムに把握し可視化するツール、国際航業株式会社製
(※6) 位置情報を活用した、仮想的な地理的境界線をもとに動的なデータを取得する仕組み
(※7) Bluetooth Low Energyの略
(※8) インターネットネット環境は機密性の高い「Smart-VPN」、クラウド環境は「Google Cloud Platform」
(※9) 各種データをリアルタイムで収集・分析するアプリケーションソフトウエア、Tableau Software社製
【屋内外で作業が行われているPCa工場の製造ライン】 |
【次世代PCa生産管理システム「PATRAC」の全体図】
■ 今後の展開
当社では、「中期経営計画2019-2021」において「建設生産プロセスの変革」を基本方針の一つに掲げ、建設現場等における生産性の向上に取り組んでいます。今後は、当社グループ会社を含めて全国に7箇所あるPCa部材の製造工場や建設現場でのデータを取得し、生産性の比較・分析による更なる生産性向上を進めてまいります
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リリースに記載している情報は発表時のものです。