タワークレーン運転支援システムの開発に着手
― BIMデータの活用で安全性と生産性を向上 ―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 近藤 重敏)は、株式会社IHI(東京都江東区豊洲三丁目1-1 社長 井手 博、以下IHI)およびIHI運搬機械株式会社(東京都中央区明石町8-1 社長 村上 晃一、以下IUK)と共同で、タワークレーンの揚重作業における安全性と生産性を向上させる運転支援システムの開発に着手しました。
本システムは、クラウド上に構築した当社の施工情報システム(※1) とIHI およびIUKのクレーン自動化技術を連携させて、従来、現場単位で計画して手動で行っていたタワークレーンの操作を支援するものです。
(※1) BIM施工データ、プレキャスト(PCa)部材データ、作業工程データを統合して一元管理するシステム
【システムの全体図(イメージ)】
■ システムの概要
本システムは、クラウド上で統合したデータを活用して、PCa部材の荷取場から取付位置までの最適な揚重経路の自動生成と、取付位置上空までの自動誘導によってオペレータの運転操作を支援するものです。
具体的な流れは次のとおりです。
- クラウド上の施工情報システムに、BIMデータを基にした施工計画情報(PCa部材情報、取付位置や順序など)を登録。
- 現場に搬入されたPCa部材に貼付されたRFIDタグ(※2) を読み取って自動判別。
(※2) PCa製造工場で導入する出荷工程管理システム「PATRAC-DL」で管理
- 施工計画に基づきクレーン自動誘導システムが最適な揚重経路を自動生成し、オペレータがモニターで確認、PCa部材の荷取場から設置位置上空まで自動誘導。
■ 開発の経緯と効果
当社の超高層マンション建設は、PCa部材を用いたスクライム工法や、最短3日で1フロアの躯体を構築するシステム施工法(DOC工法)などの独自技術を有していますが、建設現場では部材情報や作業工程の確認を個別の図面や表を用いて行っており、生産性の向上のために施工計画と管理のデジタル化が必要不可欠でした。また、タワークレーンの操作は経験豊富なオペレータが必要で、少子高齢化による熟練技術者不足による安全性の低下も懸念されています。そこで、BIMデータを基に各種データを登録した施工情報システムをクラウド上に構築し、それをタワークレーンの制御データとして活用する運転支援システムをIHI、IUKと共同で開発することとしました。
これらのシステム開発により、オペレータの負担軽減と操作の安全性を高め、稼働データをクラウドに収集することで工事進捗がリアルタイムにWebブラウザ上で可視化され、現場・本支店・製造工場での情報共有により更なる生産性向上に向けた取り組みが可能となります。
■ 今後の展開
当社では、「中期経営計画2019-2021」において「建設生産プロセスの変革」を基本方針の一つに掲げ、デジタル化による建設現場等における生産性と安全性の向上に取り組んでいます。今後は、タワークレーン運転支援システムの実証実験を経て、早期に実現場での導入を目指してまいります。
<お問い合わせ先>
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