「揺動制震システム」を実物件に初適用
― 少ない制震ダンパー数でレジリエントな建物を実現 ―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 近藤 重敏)は、地震発生時における多層階での揺れを一括して制御する「揺動制震システム(※1)」を、現在建設中の自社寮に初めて適用しました。
本システムは、多層階の水平変形を一箇所に集約する機能を持ち、少ない制震ダンパー数で制震性能を向上させることが可能となります。これにより、優れた制震性能で地震後の継続使用・早期復旧を実現します。
(※1) 当社独自工法、多層階の揺れを一括して制御する「揺動制震システム」の実用化に目処(2020年3月31日リリース)
【実物件に初適用された「揺動制震システム」(※2)】
(※2) 制震ダンパー設置前
■ 「揺動制震システム」の概要と特徴
建物の多層階に渡って架設するタイロッド部、地震時の揺れを吸収する制震ダンパー部、制震ダンパーを安定して作動させる揺動機構部の3つで構成されます。
タイロッド部が架け渡された多層階の水平変形を揺動機構部に集約し、揺動機構部のシーソーの様な仕組みで上下方向の動きに変換して制震ダンパー部に伝えます。
[1] 多層階の揺れを一括制御
地震時の各階の揺れを、多層階に架け渡されたタイロッド部と揺動機構部の動きにより一箇所に集中させます。これにより従来の制震構造よりも少ない制震ダンパー数で効果的に揺れを制御し、コストダウンが図れます。
[2] 平面的・空間的な制約が小さい
設置するシステム数(※3)が少なく、平面計画上の制約を小さくできます。また、多層階に架け渡す部材は細いタイロッドのみのため、外観や採光への影響は限定的です。
(※3) 今回適用した自社寮では4組(東西方向×2、南北方向×2)
[3] 新築・改修を問わずに適用が可能
新築のみならず既存建物の耐震改修にも適用でき、少ない施工範囲と工事期間の短縮を実現します。また、施工範囲が限られるため、使用しながらの工事も可能です。
【「揺動制震システム」の動き(イメージ)】
【揺動機構部の設置作業】 |
【揺動機構部の設置状況】 |
■今後の展開
当社では、「中期経営計画2022-2024」の基本方針の一つに「成長分野への挑戦」を掲げ、新たに生まれる社会ニーズに対し、技術とサービスで応えることに取り組んでいます。
今後は、本システムの新築および耐震改修への適用を積極的に提案し、レジリエントな建物の提供によるサスティナブルな社会の実現を目指してまいります。
<お問い合わせ先>
リリースに記載している情報は発表時のものです。
《参考》
工事名称 | 三井住友建設(株)四国支店 (仮称)大志寮建替工事 |
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発 注 者 | 三井住友建設株式会社 |
建設場所 | 愛媛県新居浜市磯浦町 |
設計監理 | 三井住友建設株式会社四国支店一級建築士事務所 |
施工 | 株式会社SMCR 四国支店 |
工期 | 2022年4月1日~2022年12月20日 |
敷地面積 | 1,226.44m² |
建築面積 | 488.66m² |
延床面積 | 1,265.94m² |
構造規模 | 地上3階(鉄骨造)[最高高さ11.90m] |
用途 | 共同住宅(31室) |
【完成予想パース】