浮体式洋上風力発電プロジェクトの事業性評価への参加とその成果について

三井住友建設株式会社(本社:東京都中央区 社長 近藤 重敏)は、BW Ideol社(本社:仏国ラ・シオタ市)が日本国内で実施した浮体式洋上風力発電の大規模商用ファーム事業性評価に参加し、コンクリート製浮体基礎の建造において、市場の期待に応える経済性および工期の実現が可能である旨を確認しました。

当社では「中期経営計画2022-2024」の基本方針の一つに「成長分野への挑戦」を掲げており、浮体式洋上風力発電事業が将来の土木事業の一翼を担う成長分野と位置付け、今回の事業性評価に参加しました。

20221216_01.png
BW Ideolの実証機 (写真出典: BW Ideol /V. Joncheray)

■ プロジェクトの概要

この事業性評価は、BW Ideol社が特許を有する実証済みのダンピングプール®(※)技術を用い、BW Ideol社が共同事業者として主導した浮体式洋上風力発電の大規模商用ファームに関する広範囲なものです。この事業性評価は、国土交通省の『浮体式洋上風力発電施設技術基準 安全ガイドライン』、日本海事協会の『浮体式洋上風力設備に関するガイドライン』等の日本国内のガイドライン・技術規準に依拠し、更にBW Ideol社が有する知見や国際的な技術規準等も加味して、複数の建設会社やエンジニアリング会社が参加し進められました。当社はグループ全体で7カ所のプレキャストコンクリート部材製造工場を有するなど、今までに培った大量かつ短工期でのコンクリート部材の製造技術・ノウハウを生かして、今後想定される15MW級の大型風車を用いた日本国内の大規模商用ファーム向けコンクリート製浮体基礎の建造に関する部分を担当しました。

(※)BW Ideol社が特許を保有するダンピングプール®技術は、浮体基礎の中央をドーナツ形に空洞にすることで洋上での浮体基礎の揺れを抑制する実証済みの技術です。この技術を用いた浮体基礎は、喫水が浅く、コンパクトでシンプルな形状のため施工性が良く、工費・工期ともに大きな優位性を有しています。また、一般的に浮体基礎の材料として考えられるスチールのみならず、工費・工期に加えて地元調達やカーボンフットプリントの観点からも利点を有するコンクリートを材料とすることも可能です。

事業性評価において当社は、BW Ideol社が案出したコスト低減と連続建造に資する工法 、具体的には、浮体基礎壁のガントリースリップフォーム工法、浮体基礎頂版スラブのプレキャスト工法、建造中の浮体基礎を建造作業工程に沿って横移動させる連続建造工法、浮体基礎の進水設備及び、浮体基礎の仮置き方法を独自に検討し、日本国内で想定した現地条件に適した施工計画を提案してまいりました。その結果、納期を遵守しながらも、高いコスト目標の達成が可能である旨を確認しました。

日本は世界有数の排他的経済水域を有する海洋大国である一方、着床式洋上風力発電の適地とされる水深50m以浅の海域は限定されていることから、浮体式洋上風力発電が非常に大きなポテンシャルを有するとされています。コンクリート製浮体基礎は浮体設置海域付近の港湾で製作することが可能であり、地域へ大きな経済波及効果をもたらすことが期待され、欧州では既に一部のプロジェクトで採用が進んでいます。

■ 今後の展開

当社は、経営理念に「地球環境への貢献」を掲げ、常に人と地球に優しい建設企業の在り方を求め、生活環境と自然の調和を大切に考えています。

また、「中期経営計画2022-2024」では、サステナブルな社会の実現に寄与する事業の創出・推進体制を強化する方針を示しています。これまでの水上太陽光発電事業に加え、浮体式洋上風力発電などの再生可能エネルギー関連工事に積極的に取り組むことで、持続可能な社会の実現と当社の持続可能な成長の両立を目指してまいります。

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

《参考》

【BW Ideol社について】

本社:147 Av. du Jujubier, 13600 La Ciotat, France、代表者: Paul De La Guérivière(CEO)

BW Ideol社は、特許取得済みの浮体式洋上風力発電技術とエンジニアリングを基礎として、浮体式洋上風力発電プロジェクトの設計、実行、開発などに10年以上の経験を持つ、浮体式洋上風力発電のグローバルリーダーです。

同社は、浮体式洋上風力発電のEPCIやメンテナンスサービスプロバイダーであるとともに、風力発電プロジェクトの共同開発者・事業者でもあるという、二刀流の成長戦略をとっています。

また、フランスと日本で稼働中の2基の本格的な浮体式洋上風力発電設備や、スコットランドで開発中の約1GWを含む大規模なプロジェクトパイプラインを有しており、また関係会社であるBW Offshore社の洋上エネルギー生産システムの開発や運用による幅広い経験によってサポートしています。

一覧ページへ