場所打ち杭の鉛直精度を向上させる「ケーシング下端位置計測システム」を開発

― 不可視となる地中部分のケーシングの傾斜をリアルタイムに見える化 ―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 近藤 重敏)は、場所打ち杭工法(オールケーシング工法)において、杭全長の鉛直精度向上を目的とした「ケーシング下端位置計測システム」(※)を開発し、屋外ヤードでの実証実験で本システムの有効性を確認しました。

本システムは、ケーシング内に2軸傾斜計、通信制御基板、バッテリー、送受信アンテナを搭載し、ジョイント部は無線通信でデータを伝送するもので、地中部分のケーシング全長の傾斜を高精度かつリアルタイムで確認しながら施工することが可能になります。

(※) 特許出願中(⽇本マルチメディア・イクイップメント株式会社との共同出願)

20240117_01.jpg【「ケーシング下端位置計測システム」の実証実験状況とシステム概要】

■ 開発の背景

高精度、高品質な場所打ち杭を構築するためには、掘削孔の孔壁保護の役割を持つケーシングの鉛直性を維持し、杭体を構築することが重要です。しかし、従来の管理手法では、地上部分のケーシングを2方向から計測機器(トランシット)または下げ振りで目視確認する必要があり、地中部分の鉛直精度は、地上部分での計測結果に基づき判断していました。このため、不可視となる地中部分の杭のリアルタイムな施工精度を定量的に評価することはできませんでした。

そこで、ケーシング全長の鉛直性をリアルタイムかつ定量的に管理し、場所打ち杭を正確な位置に鉛直に構築することができる「ケーシング下端位置計測システム」の開発に着手しました。

■「ケーシング下端位置計測システム」の特徴

[1] 施工精度の向上

オールケーシング工法の掘削作業に使用するケーシングに、本システムを搭載することで、従来不可視となっていた地中部分のケーシングの鉛直精度をリアルタイムに見える化できます。また、杭全長の傾斜が把握できることで、杭の下端位置を算出して適宜修正して、場所打ち杭の施工精度を向上できます。

[2] 施工管理の生産性の向上

本システムで測定された各ケーシングの鉛直精度の測定結果は、無線通信を使用して管理用パソコンでリアルタイムに一元管理ができるため、従来の現場での鉛直精度確認作業を省力化し、杭施工時の施工管理の生産性を向上できます。

[3] 地中部分での摩擦や掘削時の衝撃に対応

ケーシングの内側軸方向に設置された鋼製保護部により、計測・通信機器を、ケーシングの回転や圧入時に地盤から受ける摩擦や、ハンマーグラブ掘削時の衝撃から守ります。

20240117_02.jpg

【管理モニター】

20240117_03.jpg

【ケーシング内の鋼製保護部】

■ 今後の展開

今後は今回の実証実験で得られた知見を活かし、高精度かつ生産性の向上に資する技術として現場での適用を目指してまいります。

<お問い合わせ先>

本件についてのお問い合わせは、下記までお願いいたします。

三井住友建設株式会社
経営企画本部 広報室
〒104-0051 東京都中央区佃二丁目1番6号
TEL: 03-4582-3015 FAX: 03-4582-3204

お問い合わせフォーム

一覧ページへ