「サスティンクリート®(ゼロセメントタイプ)」の硬化メカニズムを解明

― シェフィールド大学との共同研究による成果 ―

当社は、シェフィールド大学(英国)と共同で研究を重ね、ポルトランドセメント(以下、セメント)を使用しない「サスティンクリート®」の硬化(強度発現)メカニズムを解明しました。

当社が開発した環境配慮型コンクリート「サスティンクリート」(※1) は、水結合材比が極めて低い条件で高い流動性を持ち、セメントを使用しない条件においても高強度を実現しています。研究成果として海外ジャーナル「CEMENT」誌にも論文が掲載されました。

(※1) 持続可能性に貢献する高性能コンクリート「サスティンクリート™」を開発(2018年02月26日)

解明された硬化メカニズム

「サスティンクリート(ゼロセメントタイプ)」(STC-Zero)の配(調)合条件において、使用されている材料それぞれの働きを、練り混ぜの直後から長期材齢まで、化学分析によって調べ、セメント不使用の条件で硬化するプロセスを明らかにしました。STC-Zeroは各材料が材齢の初期から長期にかけて順次反応し、それぞれの役割を果たしています。その結果、単位水量が非常に少なく水結合材比が低い条件にもかかわらず高い流動性を示し、かつセメント不使用の条件で高強度を実現することがわかりました。

また、STC-Zeroの硬化によって生成される反応生成物は、従来のセメントの一部を混和材で置き換えたコンクリートの水和物と同様であることも確認されました。

具体的な硬化のプロセスは、以下のとおりです。

① 比表面積の大きいシリカフューム(SF)と膨張材(EX)が反応し、水和物であるC-S-H(※2) を生成

② 生成されたC-S-Hが、各混和材(高炉スラグ微粉末(BFS)、フライアッシュ(FA))間の空隙を充填

③ EXのアルカリ刺激によりBFSが反応し、C-A-S-H(※3) とエトリンガイト(※4) が生成

④ FAが反応してC-A-S-Hが生成

⑤ 最初に生成したC-S-Hに、後から次第に生成されるC-A-S-Hとエトリンガイトが複雑に結合することで緻密な硬化体が形成

(※2) C-S-H:セメントの水和物の一つで、セメント系材料の主成分。カルシウムシリケート水和物

(※3) C-A-S-H:C-S-H にAIが固溶した水和物。Alは高炉スラグ微粉末やフライアッシュなどの混和材から供給される

(※4) エトリンガイト(ettringite):セメントの水和物の一つで、化学式では3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O

20250424_01.jpg【STC-Zeroの硬化プロセスのイメージ図】

【論文情報】

題名 :Multi-year cementitious hydrate product formation in non-Portland high performance concretes
著者 :Daniel A. Geddes, Brant Walkley, Taku Matsuda, John L. Provis
掲載誌 :CEMENT

(参考文献)
サスティンクリートが少ない水量で高い流動性を示すメカニズムについては、下記の論文で言及しています。

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