採卵鶏ふんを活用した無排水型バイオガスプラントの実証運転を開始

~ 再生可能エネルギーの創出により養鶏業を支援 ~

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 柴田 敏雄)は、環境省が実施する「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の一環として、令和4年度より「採卵鶏ふんを単一原料としたエネルギー回収技術の開発」(※) に取り組んでいます。

本事業は、従来は処理が難しいとされていた高窒素原料である採卵鶏ふんから再生可能エネルギーを作り出す取り組みです。無排水型バイオガスプラントの商用化を目指す実証施設の運転を開始し、採卵鶏ふんを単一原料とした安定的な窒素除去および無排水型メタン発酵処理を実現しています。

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実証プラント

< 開発の背景 >

国内では年間約800万トンの採卵鶏ふんが発生しており、従来は高速堆肥化装置による処理が一般的でした。しかし、この方法は大量のエネルギーコストを必要とし、養鶏業の収益に対して大きな課題となっています。養鶏業は卵価格やたい肥価格の低位安定、エネルギーや飼料の価格の高騰もあり、厳しい経営環境に直面しています。こうした背景を踏まえ、養鶏業の持続的な発展に貢献する取り組みとして、採卵鶏ふんの処理にかかるエネルギーコストを削減する技術開発を開始しました。

< 技術の概要 >

本技術の中心となるのは、採卵鶏ふんから再生可能エネルギーを創出する「メタン発酵技術」です。従来のメタン発酵プロセスでは、採卵鶏ふんに含まれる高濃度の窒素が発酵を阻害するため、大量の水で希釈する必要がありました。この希釈により大量の排水が発生し、後段階で大規模な水処理設備や大型貯留槽が必要となり、建設・処理コストが増大し、バイオガス化の実用化は困難とされてきました。

本事業では、この課題を解決するため、以下の2つの新たなシステムを導入しました。

a. 窒素除去のための前処理システム
b. 発酵残渣の液分を原料投入槽へ再循環するシステム

これにより、排水を発生させない新たな処理プロセスを構築し、建設・処理コストの低減を実現する「無排水型バイオガスプラント」が完成しました。

< 今後の展開 >

本事業は、地域共創による脱炭素社会の実現を推進する手段と位置づけており、今後は、養鶏事業者や再生可能エネルギー事業に関心をお持ちの皆さまと連携し、新たな処理手法の選択肢を提供することで、社会実装および事業化を加速してまいります。

当社は脱炭素社会の実現に向けて、引き続き環境に配慮した技術開発を進めてまいります。

< 見学のご案内 >

現在、栃木県那須塩原市内にて実証試験を実施中です。見学をご希望の方は、下記までお問い合わせください。

  • 見学担当窓口 : 三井住友建設 技術研究所 技術開発推進部 GXグループ
    TEL : 04-7140-5200 E-Mail : biogas_info@eb.smcon.co.jp

環境省「令和4年度地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」に 「採卵鶏ふんを単一原料としたエネルギー回収技術の開発」が採択 (2022年11月15日リリース)
共同実施者:アーセック・バイオエナジー株式会社、株式会社日立パワーソリューションズ、GPSSエンジニアリング株式会社、創価大学、株式会社タカムラ

< お問い合わせ先 >

本件についてのお問い合わせは、下記までお願いいたします。

三井住友建設株式会社
経営企画本部 広報室
〒104-0051 東京都中央区佃二丁目1番6号
TEL: 03-4582-3015 FAX: 03-4582-3204

お問い合わせフォーム

< 参照 >

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本事業の目指す姿

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