#22 新十綱橋
- 「りさぱら~、当社のホームページの橋ガールって知ってる?」
- 「もちろんですよ~。お橋見して美味しいもの食べるあれですよね」
- 「そう。でも最近気づいたんだけど、東日本少なくない?しかも東北、今までやってないよ!」
- 「な、なんだってー!それはまずい。早速行かなくちゃ」
- 「行くって、どこに?」
- 「だから、橋ガールですよ!」
- 「りさぱら、やる気満々だね!まず、どこに行くか決めなくちゃ」
- 「そういう時は、あの人に聞けばいいんじゃないですか。確か今日、出張で仙台にいるって聞きましたよ」
会議終了後、帰路に就こうとするハカセ
- 「さて、帰りのはやぶさを調べますかね・・・」
- 「ハカセ、お疲れ様です。ちょっと、お時間ありますか・・・」
- 「ええ、会議も終わったし、今から帰るだけですから」
- 「ズバリ、私たち、橋ガールに行きたいんです。東北らしくて良いところないですか?」
- 「できれば、美味しい名物があるような・・・」
- 「ものすごい直球ですね。しかも『橋ガールに行く』とは。うーん、そうですね・・・福島の由緒ある温泉地に当社が建設した古い橋がありますよ」
- 「それですよ、それ!ハカセ、明日空いてますか?」
- 「明日ですか!?空いてはいますが・・・天気悪いって予報で言ってましたよ。しかも、今から帰るつもりだったんですけど・・・」
- 「じゃあ、今日は仙台泊で決まりですね!」
今回のレポーターはこの二人。
そんなこんなで、橋ガールに向かうことになった私たち。
今回行くのはここでーす!
- 「着きましたよ!飯坂温泉駅。って、いきなり雨降ってますね~(´・ω・`)」
- 「私、雨女なんだよね~」
- 「そうなんですか!?でも、これはこれで風情があっていいですね」
- 「あっ、見て!かっこいい橋があるよ~」
- 「この橋は十綱橋と言って、大正4年に建設された鋼製の橋です。この摺上川に橋が架けられたのは平安時代が最初で、当時は橋の両岸を十本の藤の綱で結び板を渡してその上を歩いたので『十綱橋』って名前になったらしいですよ」
- 「平安時代から!ずいぶん歴史のある橋なんですね~」
- 「しかもその昔、義経討伐の頼朝軍がこの地に攻め入った際に当時の城主が橋を切り落として追跡を阻止したなんて話も残っているようです」
- 「義経討伐!なんか教科書に出てた。ってことは有名な橋なんですね」
- 「今の十綱橋はそんな歴史的経緯や、現存する大正期の鋼アーチ橋で最も古いものの1つであることもふまえて、2004年に土木学会選奨土木遺産に認定されてるんですよ」
- 「へぇ~」
- 「ほら、ちゃんと橋の歴史年表もありましたよ」
- 「ハカセ、まさかこれをカンペにしてました?」
- 「とんでもない(汗)! さあ、目的地を目指しますよ!この上流に当社が建設した橋があります」
小雨の中、歩くこと5分
- 「ここ曲がって、あ、この橋だよね」
- 「そう。これが新十綱橋です」
橋の概要
- 名称
- 新十綱橋
- 位置
- 福島市飯坂町字若葉町鼻毛地内
- 構造形式
- PC3径間連続有ヒンジラーメン箱桁橋
- 橋長
- 76.0m
- 工法
- 張出し架設工法
- 竣工年
- 1965年
- 「うーん。ハカセ、いたって普通の橋ですよ」
- 「まずは、橋の真ん中まで行ってみましょうか」
- 「あー、眺めいいじゃないですか」
- 「そうなんです。眺めもいいですけど、足元にもご注目」
- 「あれ?橋の真ん中のところだけ何か雰囲気違いますね。途切れてるみたい」
- 「その通り。この橋、実は真ん中で完全にはつながっていないんです」
- 「それ、前にホームページで見たことあります。ヒンジってそのことですよね。昔の橋に多いって聞きました。」
- 「またまたその通り。新十綱橋は両側から少しずつ張出して作る張出し架設工法で施工された橋なんですけど、このような方法でつくった橋は最後に橋をつなげると構造計算が複雑になり、当時のような計算機のレベルでは困難でした。真ん中を繋がないことで計算が簡単になるので当時はこの形式がたくさん作られたんですよ。これが施工時の写真です」
- 「両側からニョキッと飛び出してますね。ところで当時っていつ頃なんですか?」
- 「失礼しました。大事な情報が漏れていましたね。この橋は1965年に完成した当社の東北支店の張出し施工第一号です。日本で最初の張出し架設工法の橋が1959年完成ですからこの橋もほとんど初期のころですね」
- 「写真がモノクロですもんね」
- 「でもハカセ、橋がつながっていなくても大丈夫なんですか?落ちやすくなるとか・・・」
- 「もちろん大丈夫です。繋がっていないと言っても、完全に離れている訳ではないんですよ。この橋では片方の橋桁がもう片方に覆い被さって、PC鋼棒で留めているようになっています」
- 「へえ-、くっついているような、くっついていないような・・・」
- 「それにこの橋はドゥルックバンド形式といって、橋が落ちないように片側をPC鋼材で固定しているんです」
- 「その言葉も前にホームページで見ました。端のところで抑えてるんですよね。よくできてるんですね~」
- 「下に遊歩道があるから、降りて下からも見てみましょう」
- 「下から見ると結構大きいんだね~。下から見ると真ん中で分かれてるのがよく分かるよ」
- 「先輩!そろそろこのへんで、あれやっちゃいましょう!」
- 「いいね!ポーズも橋らしくして、ヒンジも表現してと・・・」
- 「ちょっとそのまま待ってくださいね。シャッターの調子が悪くて・・・」
- 「ハカセ、早く撮ってください。ここ蚊がいっぱいるんですよ~!」
- 「うわぁ、脚いっぱい蚊に刺された!かゆい~!」
- 「無事に『お橋見』がおわりましたね。ハカセ、このあたりで温泉を堪能できる場所や名所はありますか?」
- 「旧堀切邸ってところで、足湯に無料で入れるみたいですよ」
- 「行こう!行こう!」
- 「着きました!ここは、江戸時代の豪農・豪商である堀切家の邸宅です。敷地面積は約1,230坪で、1880年(明治13年)の火災以前は現在の約2倍の敷地面積があったそうですよ」
- 「へえ~、広いんですね」
- 「敷地内には近代建築和風住宅の主屋や県内最古、最大の土蔵とされる十間蔵のような多数の歴史的建築物があります。また飯坂温泉の源泉かけ流しの足湯も整備され、温泉街の憩いの場にもなっているんですよ」
- 「そうなんですね!確かに、平日なのに結構人がいます」
- 「色んな温度があるみたいです!40~48℃・・・」
- 「熱っ!!!」
- 「先輩、そこ48℃ですよ!道理で熱いはずです・・・」
- 「43℃ならギリギリいけそうかな?」
- 「それでも熱い~!」
- 「気持ちイイ~」
- 「本当、気持ちいいですね。ところで、初の東北での『お橋見』ということで、是非もう一つ見てもらいたい橋があるのですが、行ってみませんか?」
- 「行きたい行きたい~!」
- 「あの・・・その前にご飯食べませんか。おなかが空きすぎてもう限界です・・・」
- 「そうだね!」
- 「では、腹ごしらえをしてから行きましょう!」
ゆかりんの絵日記
2018年6月28日 行った場所:新十綱橋
「情緒あふれる温泉街... しっかり握手!!」
―つづく