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橋をつくり続ける会社の橋好き女子、
その名も「橋ガール」!
「橋好き女子」が勝手に橋の魅力を紹介しちゃう
プチプロジェクト。
『お橋見』のためなら日本全国、
いや世界の果てまでいってきまーす!

#33 鮎の瀬大橋

ある日のランチタイム

ゆっきー
「そういえば、九州って『橋ガール』の取材全然来んね~」
あーちゃん
「そうやね。7年前に 外津橋名護屋大橋 に行ったっきりらしい」
ゆっきー
「そんなに前なんやね!?」
あーちゃん
「もう私たちだけで行ってみらん?」
ゆっきー
「行くとしたら、どこが良いかなあ?」
あーちゃん
「そういえばこの前、ハカセが熊本に"鮎の瀬大橋"っていうデザインが特徴的な橋があるって言っとったよ」
ゆっきー
「橋のデザインってシンプルなのが多いイメージ。見てみたい!」
あーちゃん
「行くしかない!!」

今回のレポーターはこの二人

hg33_reporter.png

目的地の鮎の瀬大橋に向かう途中、通潤橋に寄り道

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ゆっきー
「やっと着いたーーーー!背中痛―い!」
あーちゃん
「それはこっちのセリフよ!笑」
ゆっきー
「運転おつかれさまです(ニッコリ)」
あーちゃん
「はあ~疲れたぁ!あっちに橋が見えるね!行ってみよ!」
ゆっきー
「ま、待ってぇ~」

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ゆっきー
「石造りのアーチ橋やね!」
あーちゃん
「橋が水面に反射しててキレイ~!」
ゆっきー
「へぇ~、布田保之助っていう人が『通潤橋』の建設者なんだって」
あーちゃん
「白糸大地に農業用水を送るために建設されたって書いてあるよ」
ゆっきー
「放水で有名な観光スポットなんやね~」
あーちゃん
「あ!私、小さい頃ここに来たことある!放水もその時見たっちゃんね!」
ゆっきー
「えっそうなん?いいな~いつか見てみたいな!」

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あーちゃん
「...ねえねえ、あっちにいる人、どこかで見た事あるんやけど!」
ゆっきー
「ん!?だれ???」
あーちゃん
「...ハカセじゃない!?」
ゆっきー
「ハ、、、ハカセ!?」
あーちゃん
「呼んでみよっか!ハーカーセーーー!!」
ハカセ
「おや奇遇ですね。どうしてこちらに?」
あーちゃん
「九州に橋ガールの取材が来ないので、私たちだけで来ちゃいました!」
ゆっきー
「ハカセが前に言っていた"鮎の瀬大橋"をお橋見しに来ました!」
ハカセ
「そうなんですね。私は出張で熊本まで来たついでに、観光がてら橋を見に来たところでした」「鮎の瀬大橋までもうすぐなので、私が案内しましょうか」
ふたり
「ぜひ、お願いします!」

ハカセとともに鮎の瀬大橋へ到着

ハカセ
「見えてきましたよ。あれが鮎の瀬大橋です」

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橋の概要

名称
鮎の瀬大橋
位置
熊本県上益城郡山都町
構造形式
3径間連続PC斜張橋
橋長
390m
架設方法
張出し架設工法
竣工年
1999年

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ゆっきー
「奥と手前で橋脚の形が違うね。どうやって支えとるんかな?」
あーちゃん
「ハカセ教えてくださーい!」
ハカセ
「奥のほうに見えるのはV型橋脚というもので、手前に見えているのは斜張橋です。このような急峻な渓谷ではアーチ橋が選ばれることが多いのですが、あえて異なった2つの構造を組み合せることで、周囲の景観とも調和させながら斬新なデザインの橋梁になっています」
あーちゃん
「本当。とても周囲の風景とあってます」
ハカセ
「デザインも斬新なのですが、地形を活かした構造としても特徴があるんです。V型橋脚側の崖の中腹には小段があって橋脚を支える地盤がしっかりとしていますが、斜張橋の橋脚側は急峻な崖になっていて地盤がそれほど強くありません。そこで、V型橋脚側は橋脚と主桁と▽の形状で一体化したラーメン構造として【剛構造】とし、それに対して斜張橋側の橋脚と主桁は部材が薄い【柔構造】となっています。これによって地震が発生したときの水平力の多くを地盤がしっかりした【剛構造】のV型橋脚で負担させ、耐震性を向上させています」

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ゆっきー
「左右非対称なところとか、地形を活かしたデザインを取り入れているところとか、もはや芸術やね!」
あーちゃん
「確かに!橋にも色んなデザインがあるんやね~」
ハカセ
「芸術的で、しかも一目見るだけで鮎の瀬大橋だとすぐに分かる。他にはない独自性のある橋梁です。それでは、橋のほうに行ってみましょう」

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ゆっきー
「うわーーーおっきい!!!」
あーちゃん
「下はかなり深いよ!!こわっ!」

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ハカセ
「橋長は390m、谷をまたぐ支間長は200mあります。そして今、私たちがいる 路面から谷のもっとも深いところまでは、なんと140mもあります」
ゆっきー
「いったいどうやってこんなところに橋がつくれるんだろう」
ハカセ
「これが施工時の写真です。V型橋脚がほぼ出来上がって、斜張橋の主塔が立ちあがっています。施工中は仮設の吊り橋をつくって、工事に携わった人たちはそこを行き来したそうですよ」
hg33_09.png
あーちゃん
「ハカセが言っている仮設の吊り橋って、橋脚の間にある川に架かっている橋のことですか?」
ハカセ
「そうです。この架設の吊り橋に支間は145mもあったそうです」
ゆっきー
「こんなに怖い場所で作業をするってほんとにすごかね~」
あーちゃん
「うん。凄すぎる...」
ハカセ
「他にも様々な箇所に工夫を凝らしたデザインになっています。例えば、『火の国』と呼ばれる熊本らしいオレンジ色の斜材もそうですし、斜材が主桁に定着されている部分は所々が丸みを帯びたデザインになっています。他にも橋脚には縦縞の模様をつけて、幅広い橋脚の圧迫感を減らす工夫がされています」

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あーちゃん
「橋にも色んなデザインの工夫があるんやね~」
ハカセ
「鮎の瀬大橋は、グッドデザイン賞と土木学会デザイン賞を受賞していますが、この橋をデザインしたのは大野美代子さんという方です。横浜ベイブリッジなど多くの橋をデザインし、数々の賞を受賞されていて、当社が施工した 小田原ブルーウェイブリッジ 、陣ヶ下高架橋、備前日生橋 も大野美代子さんのデザインです」
あーちゃん
「女性の方のデザインなんですね。素晴らしいです」
ハカセ
「デザイン的にも素晴らしい橋なのですが、地域の利便性向上にも貢献しています。この橋が開通する前、深い渓谷に分断された山間部側の地域は、とても交通の便が悪く陸の孤島と呼ばれ、急患者がでると近くの町まで長い時間をかけて運んでいたそうです。なのでこの緑川に橋を架けることは地域住民の悲願だったそうです」
ゆっきー
「そんな思いがあるのですね。デザイン、構造もさることながら命もつなぐ橋なのですね」
ハカセ
「そろそろ、この橋のポーズで写真を撮りましょうか」
ふたり
「お願いします!」

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あーちゃん
「おなかすいた~」
ハカセ
「そろそろお昼の時間ですね、お昼ごちそうしますよ」
ふたり
「やった~!行きましょう!」
ハカセ
「昼食を済ませた後、吊り橋見に行きませんか?」
あーちゃん
「吊り橋ですか?気になります!」
ゆっきー
「今日はお橋見ツアーですね!!」
ハカセ
「私にお任せあれ。ただし道のりは険しいですよ(ボソッ)」

 

―つづく

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