橋梁建設の生産性向上を図るプラットフォーム「SMC-Bridge」を開発・適用

―「i-Bridge」の実現を目指して―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井英雄)は、橋梁建設における関連する様々なデータと、管理を効率化する各種ICTシステムをプラットフォーム上で連携させ、一元的な管理・運用を可能にするトータルシステム「SMC-Bridge」を開発しました。

現在、岩手県久慈市における国道45号夏井高架橋工事での適用を開始しています。

 

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■ 「SMC-Bridge」の概要

開発した「SMC-Bridge」は、わかりやすいインターフェースとクラウドコンピューティングによるリアルタイム性を重視し、プラットフォーム上で一連の橋梁建設に関するデータと、アプリケーションとしての各種ICTシステムを一元的に管理・運用することを可能にしました。また、発注者を含む全ての関係者間で情報の共有が図れ、施工管理の記録書類である各種調書を自動作成するなど、ICTを活用した業務の効率化により生産性向上に大きく寄与します。

当社は、設計、施工、維持管理における当社独自の建設マネジメントシステム(DCM)の構築に取り組んでいるところですが、国土交通省が提唱する「i-Construction 」を橋梁に展開した「i-Bridge」の構想と目的が一致するもので、開発した「SMC-Bridge」が「i-Bridge」実現の一助となるものと考えております。

 

■ 国道45号夏井高架橋工事での適用状況

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[1] 測量・設計・施工計画

UAVによる地形測量で取得した3Dデータと橋梁3次元モデル作成システム「SMC-Modeler」によって、完成イメージや施工手順動画などを「SMC-Bridge」に格納し、常時利用が可能となりました。

[2] 検査

  1. 施工管理の記録である調書を施工箇所と工種によって視覚的にわかりやすいインターフェースで整理する「調書管理システム」を開発し、工事関係者が容易にデータを確認することができるようになりました。
  2. 「SMC-Oneナビ」による型枠セット、橋面高さ計測、PC鋼材高さ検測を実施し、管理業務の省力化を図っています。また、システムに必要な設計データは「SMC-Modeler」から取得するとともに、クラウドを介して計測結果を自動調書化し、施工場所からダイレクトに「調書管理システム」に格納しています。
  3. 出来形計測の結果をその場でスマートフォンに入力して自動調書化する「出来形調書作成システム」を開発し、結果を「調書管理システム」に自動格納しています。

[3] 現場施工

GNSS(全地球航法衛星システム)を用いたクレーン監視システムにより、クレーンブームの位置を3次元バーチャル空間上でのモニタリングを可能としました。

この他にも床版コンクリートの仕上げ精度をAR技術で可視化する「AR床版仕上げ管理システム」の導入や、可視光通信による施工完了部分の変形モニタリングも行っています。

 

■ 今後の展開

「SMC-Bridge」に格納された各種データは、構造物の維持管理に利用することを今後視野に入れており、実橋での適用を進めてシステム運用の最適化を図っていきます。また、配筋検測や出来形検測を行う新たなシステム開発を進め、「SMC-Bridge」をさらに拡充して「i-Bridge」の実現を目指していきます。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

 

【参考】

■ SMC-Bridgeに連携されているシステム(リリース発表日順)

(1) 可視光通信計測システム

 可視光通信3次元位置計測システムを現場に適用し実用化 (2010.1.7)

(2) 橋梁点検ロボットカメラ

 橋梁点検ロボットカメラを開発 ―近接目視困難箇所の点検を可能に― (2013.11.18)

(3) GNSSクレーン監視システム

 3Dクレーンブーム位置監視システムを実用化 ─近接工事における立体的なクレーン作業範囲の監視─ (2014.9.17)

(4) AR床版仕上げ管理システム

 『AR-表面仕上げ管理システム』を開発 ―写真計測技術とAR技術を用いた品質管理― (2016.5.12)

(5) SMC-Modeler

 『橋梁3次元モデル作成システム(SMC-modeler)』を開発・適用 ─3次元化作業時間が週単位から分単位へ大幅に削減─ (2016.12.15)

(6) SLAM

 SLAM技術を利用した設備スリーブ管理システムを開発 ─取り付け精度確認作業における大幅な省力化の実現に目途─ (2017.2.3)

(7) SMC-Oneナビ

 計測作業・管理の省人化を実現する『SMC-Oneナビ』を開発・適用 ─PC橋の計測・管理作業をスマホを用いて、複数人から一人で!─ (2017.11.21)

(8) 斜張橋ケーブル点検ロボット

 死角0(ゼロ)の斜張橋ケーブル点検ロボットを開発 ─ケーブル最頂部から自動制御で等速降下しながらケーブル全周をくまなく撮影─(2017.12.5)

 

■ 三井住友建設のトータル建設マネジメントシステム (DCM)

建築分野のBIM(Building Information Modeling)/土木分野のCIM(Construction Information Modeling)技術を用いたトータル建設マネジメントシステム(DCM)(DIM/CIM/MIM)で、設計・施工・維持管理までの一連における高度な品質マネジメントを実現します。

 

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[1] 設計/DIM (Design Information Management)

3次元モデルは、テキストデータから自動で容易に作成できることから設計作業中において各部材の干渉確認、細部構造の確認が可能となり設計品質の向上が図れるとともに、数量の算出も効率的かつ正確に行えます。

 

[2] 施工管理/CIM (Construction Information Management)

正確な橋梁3次元モデルとドローンなどで計測した地形情報を組合せることで、精度の高い施工シミュレーションが可能となります。構造物の出来形計測結果などを本データと組み合わせることで、施工管理の高度化も可能となります。

 

[3] 維持管理/MIM (Maintenance Information Management)

橋梁の完成後の維持管理に必要な施工時の品質管理記録や供用後の点検記録を3次元モデルに属性データとして付与することにより維持管理の効率化を図ることが出来ます。

 

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