腐食しないアラミドFRPロッドを用いた世界初の橋梁で載荷試験を実施
―四半世紀以上経過しても建設当初と同等の性能を維持―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井 英雄)は、腐食しない素材アラミドFRPロッドを用いて1990年に建設した世界初のプレストレストコンクリート(PC)橋について、その一部を撤去し曲げ載荷試験を実施しました。四半世紀以上経過してもアラミドFRPロッドは所定のプレストレス力を有し、PC橋は建設時に計画した通りの性能を有していることを確認しました。
【建設当時の実証橋】
■アラミドFRPロッドを用いた橋梁の概要
当社は、1980年代に高張力繊維であるアラミド繊維をビニルエステル樹脂で固めてロッド状に加工した、PC橋に用いるアラミドFRP緊張材を開発しました。アラミドFRP緊張材は厳しい腐食性環境でも全く錆びず、PC鋼材と比較して同等の引張強度を有しながら、引張弾性率は約4分の1、比重は6分の1に抑えられるなど、数々の優れた特徴があります。1990年には世界初となるアラミドFRP緊張材を用いたプレテンション方式によるPC橋(橋長12.5m)を、当社のコンクリート二次製品工場(※1)敷地の出入口に実証橋として建設しました。
※1 現 SMCプレコンクリート株式会社 栃木工場(栃木県小山市)
【断面図】
■曲げ載荷試験の実施
アラミドFRP緊張材を用いたPC橋の主桁3本のうち、撤去した1桁を用いた曲げ載荷試験を、支間長など実証橋と同条件のもとで当社技術研究所(千葉県流山市)にて実施しました。試験データからアラミドFRP緊張材の残存プレストレス力を算出した結果、計画通りの緊張力を保持しており、計算通りの曲げ破壊耐力を有していることを確認しました。また、アラミドFRP緊張材が破断した際の荷重から評価を行った結果、アラミドFRPロッドは設計時の引張強度を有しており、四半世紀以上経過していても建設時と同等の性能を維持していることを確認することができました。
【PC橋主桁の撤去作業】 |
【アラミドFRPロッド】 |
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■今後の展開
塩害が懸念される臨海部など、高い耐久性が求められる地域でのコンクリート構造物や、軽量・低弾性率などアラミドFRPロッドの特徴を活かした用途へ積極的に適用してまいります。
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