「プレストレスト木質構造」の実物件への適用に向けた設計法を確立
― 開放的な大空間と優れた耐震性を有するサスティナブル建築物を実現 ―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井 英雄)は、自社開発した「プレストレスト木質構造」(※1)工法について、実物件への適用に向けた構造性能の確認実験や評価・分析を行い、このたび本工法の設計法を確立しました。
本工法の適用により、開放的な大空間と優れた耐震性を有するサスティナブルな建築物を実現します。
(※1)環境に優しい木質部材とプレストレス技術の融合をさせた当社独自工法
(2018年8月7日リリース 優れた耐震性と大スパンを実現する「プレストレスト木質構造」を開発)
【設計法を確立した「プレストレスト木質構造」建物のイメージ】
■ 本設計法を用いた建物例
[1] 建物概要
・建物用途:事務所、食堂
・建物規模:地上2階建
・最大スパン:約11m
・建物高さ:11m
・延床面積:約2,500㎡
[2] 特長
- プレストレス(※2)を導入した木質部材とラーメン構造により、約11mの大スパンで自由度の高い大空間と外周部に壁のない開放的な建物を実現します。
- PC鋼材を柱梁接合部(鉄筋コンクリート(RC)造)に貫通させて緊張することで、梁が柱に圧着し、大地震時にもPC鋼材がフレームの変形を元の位置に戻す力(復元機能)を発揮する優れた耐震性能を発揮します。
(※2)ピアノ線などのPC鋼材(緊張材)を用いて部材にあらかじめ導入する圧縮力
■ 設計法確立までの経緯
地球環境への配慮から木材資源の活用が注目され、木質構造の適用範囲を中大規模建築物へ拡大することが期待されています。そこで当社では、橋梁分野で培ってきたプレストレス技術を木質部材に応用し、単一の木質部材であってもオフィスや商業施設などで大スパンによる大空間・大開口を実現する「プレストレスト木質構造」を開発しました。
その後、プレストレスを導入した木質部材の構造性能試験や梁の曲げ耐力試験などを実施し、木材のクリープ特性や接合部の構造性能評価を行い、実用化のための設計法を確立しました。
【梁の曲げ耐力試験の様子】 |
【プレストレスを導入した木質部材(イメージ)】 |
■ 今後の展開
当社では、最新技術や社会的ニーズを鑑み、構法や材料選択において最適な素材で、より良い建物を提案・提供する「TEKIZAI®」に取り組んでいます。
今後は、当社施設での本工法の適用で設計法・施工法をさらに整備し、サスティナブルな中大規模建築物への適用に取り組み、CO2排出量が少なく環境に優しい安全で安心な社会の実現に貢献してまいります。
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