「Cool Factory」で工場を涼しく

― 置換空調方式による工場冷房をラインアップに追加 ―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 近藤 重敏)は、屋根散水システムなどの暑熱対策エンジニアリングを数多く提案し、Cool Factory(※1) の展開を図ってきました。その実績と経験を活かし、大空間の下部作業空間を効率的に冷房する新たな置換空調方式(※2) を、栃木県内の既存実験施設(床面積約400m²、高さ12m)に適用しました。

通常の置換空調方式の採用は大規模で高額になります。本方式では、一般的な設備機器を利用し、配置がしやすく、短時間で設置が可能になり、コスト削減も可能です。床置型パッケージエアコンと置換空調用吹出口をダクトで接続してユニット化し、通常のパッケージエアコンによる冷房と比較(※3) しても使用電力量を約20%削減でき、また自然対流(上昇気流)による高い換気効率を実現可能です。

(※1) 三井住友建設の工場向け暑熱対策エンジニアリング

(※2) 人が活動する床付近の換気や冷房を効率良く行うシステム

(※3) 気流解析による、室温27℃(室内中央、1.2m高さ)制御時の消費電力の比較

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【置換空調ユニット】

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【室内の温度の様子】

適用の背景

工場や実験施設などの大空間では、夏季における下部作業空間の熱中症対策や品質管理などにおいて、適切な温熱環境を維持することが求められています。しかし、空間の大きさや建物の構造、コスト面などから暑熱対策が困難な場合は、やむを得ず一般的な大規模空調装置で空間全体を冷房していることが多く見受けられます。

このように大空間を冷房する一般的な方法としては、ダクト式空調の適用、パッケージエアコンの設置による直吹、あるいは冷風を当てる場所を限定するスポットクーラーの設置などがあります。しかしながら、下部作業空間の冷房は難しく、また、置換空調方式を用いる場合、冷凍機やエアハンドリングユニット、ダクトなど大規模な装置を設計・製作する必要があるなどの課題がありました。

そこで当社では、これらの課題を解決する新たな方式を適用しました。

適用した置換空調方式の特徴

[1] 大空間の下部作業空間を効率的に冷房

外気温が35℃を超えた日に室内を実測した結果、空間の上部は35℃以上でしたが、床上3mまでの作業空間は27℃以下に維持されていることを確認しました。また、除湿された空気が下部に滞留し、暑さ指数(※4) が20.7℃で、ほぼ熱中症の危険がないことも確認できました。

(※4) 暑さ指数(WBGT/湿球黒球温度):熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標。

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【室内の垂直温度分布の測定結果】

[2] 自由度の高い配置と短期間で設置可能

床置型パッケージエアコン(冷房能力50kW)と置換空調用吹出口を、吹出温度と風量の適切な組み合わせで設計します。自由度の高い配置が可能で、短工期で設置できます。

[3] 電気使用量の削減と高い換気効率

大空間の下部作業空間を効率的に冷房するため、通常のパッケージエアコンと比較して電気使用量を20%削減できます。また、パッケージエアコンに外気を導入し、作業などによって暖められた空気は自然対流(上昇気流)によって建物上部の開口部から排出されるため、高い換気効率を実現でき、感染症対策にも寄与します。

■ 今後の展開

このたび適用した本方式は、新設だけでなく既存の建物にも設置が可能です。今後も、お客様の様々な暑熱対策のニーズに合わせた提案を積極的に行ってまいります。

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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