PC橋梁「柱頭部の超急速施工法」を開発・初適用
― 柱頭部のPCa化と新型ワーゲンにより施工日数を50%短縮 ―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 近藤 重敏)は、プレストレストコンクリート(PC)ラーメン橋(※1)「柱頭部の超急速施工法」を開発し、新東名高速道路滝沢川橋にて初適用しました。
本工法は、プレキャスト(PCa)部材による柱頭部横桁の急速構築工法「柱頭部SPER工法」(※2)と狭隘な橋面で設置可能な新型移動作業車「ガーダー式コンパクトワーゲン」を組み合わせたもので、従来の大型ブラケット支保工を用いた場所打ちコンクリートによる柱頭部の施工と比べて施工日数を50%短縮でき、省力化と生産性の向上を実現しました。
(※1) 橋梁形式の一つで、主桁と橋脚・橋台を剛結構造としたもの
(※2) 特許出願済み
■「柱頭部の超急速施工法」の概要
本工法は、次の2つの工法を組み合わせたものです。
[1] 「柱頭部SPER工法」による柱頭部横桁の急速構築
橋脚(下部工)と同寸法の中空形状のPCa部材を橋脚上に重ねて設置し、鉄筋・PC組立後にコンクリートを打ち込んで柱頭部横桁を構築します。これにより、従来工法のような大型ブラケットが不要となり、横桁部の型枠作業も低減できるため、省力化と生産性向上に加えて安全性も向上します。
【PCa部材の組立状況】 |
【柱頭部横桁の構築】 |
[2] 「ガーダー式コンパクトワーゲン」による張出部の構築
PC橋梁の柱頭部が狭隘でも設置が可能なガーダー式の片持ち架設用移動作業車「ガーダー式コンパクトワーゲン」を新たに開発しました。組立時には2基の移動作業車を連結することで組立に必要なスペースが低減し、PCa部材によって先行して構築した狭隘な柱頭部においても設置が可能となります。また、これまで柱頭部として横桁部と一括で構築していた張出部(0ブロック)を本ワーゲンで構築し、その後に2基のワーゲンを中央で分割し、一般的な移動作業車と同様に片持ち架設を行います。本ワーゲンは新名神高速道路奥山田川橋(仮称)でも実装しております。
【一般的な移動作業車(左)と「ガーダー式コンパクトワーゲン」(右)の比較(側面図)】
【ガーダー式コンパクトワーゲン組立状況】 |
【片持ち架設状況】 |
【施工日数短縮のイメージ】
■ 今後の展開
当社は、「中期経営計画2022-2024」の基本方針の一つに「成長分野への挑戦」を掲げ、建設生産システムの深化による次世代建設生産システム「SMile 生産システム」の実現に向けて、建設現場の工業化・自動化に取り組んでいます。
今後は、本工法の更なる現場適用と張出し施工部へのPCa部材の活用等により、PC上部工の更なる工程短縮と生産性を向上させてまいります。
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