塩害で劣化したコンクリート橋を補修・補強する「アラミド繊維・電気防食併用工法」を開発

― 容易な作業で省力化を実現し、耐荷性と耐久性を向上 ―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 近藤 重敏)と住友大阪セメント株式会社(東京都港区東新橋一丁目9番2号 社長 諸橋 央典)は、塩害で劣化した中小規模のコンクリート橋の耐荷性と耐久性を向上させる「アラミド繊維・電気防食併用工法」を共同で開発しました。

本工法は、アラミド連続繊維シートによる補強工法とテープ陽極方式による電気防食工法を組み合わせて補修・補強するもので、このたび、実際の橋梁を模擬した試験体による屋外での暴露試験や載荷試験を実施して、アラミド連続繊維シートの補強と電気防食の効果を確認し、実用化に目途をつけました。

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【テープ式陽極材の貼り付け状況】
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【テープ式陽極材の上に貼り付けたアラミド連続繊維シート】

■ 「アラミド繊維・電気防食併用工法」の概要と特徴

本工法は、テープ式陽極材(チタン製の薄いテープ状の陽極材)をコンクリート構造物表面(橋梁の下面や側面)に貼り付け、その後アラミド連続繊維シートを接着することで陽極材を固定し、補強も行います。従来の電気防食工法と比較して、陽極材の施工の省力化と経済性の向上がはかれます。

特徴は、以下の通りです。

  1. アラミド連続繊維シート補強による耐荷性向上と電気防食による耐久性向上を行います。
  2. アラミド連続繊維シートやテープ式陽極材は軽量で柔軟性があるため、コンクリート面への貼り付けが容易です。
  3. 従来の電気防食工法では陽極材をコンクリートに埋め込んでいましたが、本工法はテープ式陽極材をコンクリート面に貼り付けるため、陽極材の設置作業が50%省力化できます。
  4. アラミド連続繊維シートによりテープ式陽極材をコンクリート面に固定し、コンクリート面からの剥離を防止するため、防食効果の長期安定性が期待できます。
  5. アラミド連続繊維シートは非伝導材料であるため、防食電流の分布を阻害せず均一な防食効果が得られます。

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【「アラミド繊維・電気防食併用工法」のイメージ図】

■ 開発の背景

高度経済成長期以降に建設されたコンクリート橋は、供用開始後40~50年を経て老朽化しつつあり、適切な維持・管理が必要とされています。特に沿岸部に建設されたコンクリート橋では、飛来塩分の影響により鉄筋腐食やコンクリートの浮き・はく離、ひび割れなどの変状が多く報告されています。

これらの損傷は初期段階では橋梁全体の耐荷性への影響は少ないものの、長期にわたり放置すると主桁補強鋼材の腐食、耐荷性能低下へと進行することが予測され早期の対策が必要です。また、塩害を受けて劣化した橋梁では、既にコンクリート内部に侵入した塩分を完全に取り除くことは難しく、断面修復を行っても内在塩分により、再び塩害が発生します。対策としては、耐荷性の向上を目的とした補強と、耐久性の向上を目的とした防食が同時に必要で、工事が大掛かりになります。そこで、アラミド連続繊維シート補強とテープ状陽極材を用いた電気防食の併用により、容易な作業で、耐荷性とともに耐久性を効率的に向上させる「アラミド繊維・電気防食併用工法」を開発しました。

■ 今後の展開

三井住友建設と住友大阪セメントでは、塩害で劣化した主に地方自治体が管理する中小規模のコンクリート橋に対して「アラミド繊維・電気防食併用工法」の適用を積極的に提案し、サスティナブルな社会の実現に貢献してまいります。

<お問い合わせ先>

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三井住友建設株式会社
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〒104-0051 東京都中央区佃二丁目1番6号
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