スクライム(プレキャストコンクリート)工法が米国の技術認証を取得
― 国際的な技術認証の取得により海外での適用が容易に ―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 柴田 敏雄)は、鉄筋コンクリート造(RC造)の超高層建築物において当社が広く適用しているプレキャストコンクリート(PCa)を用いた「スクライム(SQRIM)工法」(※1) で国際的に認知度の高い規格である米国の技術認証(※2) を取得しました。今回取得した技術認証は、本工法がACI(米国のコンクリート工学協会)の耐震設計規準(ACI318)に準拠することを構造試験(ACI 374試験)で実証したものです。
これにより、米国の耐震規準に準拠し耐震設計が行われている国々においても、耐震性能の証明が容易になり、海外での適用を円滑に進められるようになりました。
(※1) 鉄筋コンクリート造建築物の柱や梁をすべてプレキャスト化することで、現場打ちコンクリートを使用しないオールPCa工法で、高品質かつ超短工期での施工を可能にした工法です。スクライム工法、スクライム-H工法
(※2) 米国の2つの認証機関(ICC-ES : International Code Council Evaluation Service、IAPMO-UES : International Association of Plumbing and Mechanical Officials Uniform Evaluation Service)の認証を同時取得
■ 取得した技術認証番号および評価報告書
① ICC-ES : 認証番号 ESR-4915
② IAPMO UES : 認証番号 ER-827
【スクライム工法とスクライム-H工法の手順】
■ 技術認証取得の経緯
本工法は、国内で40棟以上の超高層建築物に採用され、さらに2016年には海外(マレーシア)の構造物にも適用(※3) しました。海外での適用にあたっては、事業主、設計者および審査機関などへの説明に日本国内の試験結果を用いたため、各国の基準または規準との対応を示すまでに、労力を要しました。
南アジア諸国では、米国の規準に準拠した耐震設計が行われる国が多いことから、本工法の海外での円滑な適用を目指し、2021年に鉄筋継手性能に関する米国規格の技術認証(認証機関:IAPMO-UES)を取得(※4) しました。さらに今回、米国の耐震性能に関わる技術認証を2つの認証機関(ICC-ES、IAPMO UES)で取得しました。これにより、本工法が国際的に認知度の高い規格に準拠していることが証明され、海外での適用を円滑に進められるようになります。
試験体の製作(PCa部材の製造、組立、グラウト注入)は米国のPCa工場で行い、認定試験機関であるマイアミ大学(※5) の監督の下、構造試験(試験場所:ノースカロライナ州立大学)を実施しています。
(※3) 海外でのプレキャストコンクリート(スクライム)工法の展開を開始(2017年9月6日)
(※4) PCa部材接合部の鉄筋継手システムで国際規格評価認定を取得(2021年10月13日)
(※5) フロリダ州にある私立大学
【構造試験の様子】
■ 今後の展開
2016年のマレーシアでの適用では、交通網以外のインフラ(電気、ガス、水道、住宅など)が整っていない地域にもかかわらず、高い施工生産性を実現しました。この経験により外部環境の制約が多い海外でのパイプラックプラント工事において、フルPCa技術を用いた本工法は様々な技術提案が可能と考えています。今回、国際的に認知度の高い技術認証を取得したことで、耐震構造が必要な地域のRC造の建築物全般へ導入がしやすくなります。
近年、東南アジア各国の首都圏でも労務不足が深刻となるプロジェクトが見受けられており、生産性向上を実現できる技術を、当社進出国を中心に海外展開を図ってまいります。
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