- 土木
アラミドシート修復工法 とは
作業性のよいアラミドシートを用いて覆工劣化部を高効率に補修する工法です。高強度のアラミドシートを、非有機系溶剤により覆工背面に貼付することで、短時間に劣化した覆工背面を補強することができます。
二方向アラミドシート
![]() 二方向アラミドシートの製品諸元 |
![]() 二方向アラミドメッシュの製品諸元 |
背景
トンネル覆工の劣化は、コンクリートの剥落やひび割れを生じさせるため、トンネルの長期的な安定性が低下します。したがって、できるだけ早期に覆工劣化部を補修することが必要となります。覆工劣化の補修は覆工構造としての強度を保全し、その安定性を担保することにあります。
ところが、安価で簡便な劣化対策工法は実用化されていませんでした。
そこで、安全で信頼性の高い補修工法として、高強度で施工性の高いアラミドシートと、有機溶剤を用いない施工法を実用化しました
特徴
- アラミド繊維とは高機能繊維の一種で、スーパー繊維やハイテク繊維と呼ばれています。三大合繊の一つで、ナイロンと同じアミド結合をもち、高強度・高弾性で耐久性に優れています。ナイロンが脂肪族ポリアミドであるのに対し、芳香族ポリアミドであることからアラミドと呼ばれています。炭素繊維などよりも柔軟性に富むため作業性が良好です。
- 二方向アラミドメッシュは、アラミドシートと同等の強度特性を発揮します。また、メッシュ製品のため補修後もひび割れを観察することができます
- アクリル樹脂やウレタン樹脂などによる有機溶剤を用いないため、小空間でも安全な補修作業が可能です。
![]() 鉄道単線トンネルの補修 |
![]() 神奈川県民間道路トンネル補修例 |
施工
二方向アラミドシートによるトンネル補修はトンネル断面寸法や換気条件などによって若干の変更はありますが、概ね次の手順で実施します。
- STEP 1 プライマー塗布・不陸修正工 トンネル覆工壁面の凹凸や切欠きなどの不陸を修正し、二方向アラミドシートとの接着性を高めるためにプライマーを覆工壁面に塗布します
- STEP 2 含浸樹脂の下塗り トンネル覆工形状に沿った形状に二方向アラミドシートを接着・固化させるための含浸樹脂を予め覆工表面に下塗りします。
- STEP 3 アラミドシートの貼付け トンネル覆工形状に合わせて二方向アラミドシートを貼り付けます。
- STEP 4 脱泡ローラーによるしごき 二方向アラミドシートとトンネル覆工間の空気泡を脱泡ローラにより取り除きます。
- STEP 5 含浸樹脂の上塗り 二方向アラミドシートの上からトンネル覆工形状に沿った形状に含浸樹脂を塗布します。
- STEP 6 完成
二方向アラミドメッシュの場合も同様な手段で作業を行います。
![]() プライマー塗布・不陸修正工 |
![]() 含浸樹脂の下塗り |
![]() アラミドシートの貼付け |
![]() 脱泡ローラーによるしごき |
![]() 含浸樹脂の上塗り |
![]() 含浸樹脂の上塗り |
実施例
工業用水トンネル、道路トンネル、鉄道トンネルなど