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免震装置とは

免震装置には、建物の重量を支えながら水平方向に大きく変形して地震の揺れを逃がす「アイソレータ」と、地震のエネルギーを吸収して建物が揺れにくくする「ダンパー」があります。

ここでは三井住友建設グループで開発した代表的な免震装置を紹介します。

錫プラグ入り積層ゴム支承 SnRB

天然ゴムを主材料とした積層ゴムの中心に、円筒状の錫プラグを封入した免震装置です。積層ゴムに封入するプラグ材としては鉛が有名ですが、本装置では環境への影響にも配慮して錫を使用しています。一体型(アイソレータ+ダンパー)の省スペース性、優れた施工性と保守性、安定した性能など、鉛プラグ入り積層ゴム支承LRBの長所はそのまま継承しています。

錫は鉛と比較して約1.7倍のエネルギー吸収力があるため、同じ減衰力を得ようとするとき、鉛プラグ入り積層ゴム支承LRBよりも装置数が少なくて済みます。このため、建物全体のコストダウンが可能になる場合があります。

※ 薄いゴム板と鋼板を交互に重ねて接着したものです。
上下方向には硬く水平方向には柔らかい性質を有しています。

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SnRBの構造

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SnRBの設置状況

直動転がり支承 CLB

鋼球を用いた直動機構(LMガイド)を十字に組み合わせることにより、水平方向に自在に動く免震装置(アイソレータ)です。稼働時の摩擦係数は約0.005と極めて小さく、氷の上をすべる時と同じレベルです。このため、これまで免震化が困難とされていた戸建住宅や低層鉄骨建築などの軽量建物も免震構造とすることが可能です。また、上下方向の引張力に耐えながら動くことができるため、免震装置に引抜力が作用し易い塔状建物や超高層建物にも安心して使用できます。

直動転がり支承CLBは、地震後に建物を元の位置に戻す復元機能や、地震時に建物を揺れにくくする減衰機能は持っていないため、通常は積層ゴム系のアイソレータやダンパーと組み合わせて使用します。

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十字型CLB

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キ型CLB

減衰こま RDT

産業用機械として普及しているボールねじを利用した円筒形のダンパーです。建物の変形により発生する装置軸方向の伸縮を、ボールねじを利用して高速の回転運動に変換し、円筒形の回転部に充填した粘性体の抵抗でエネルギーを吸収します。

減衰こまRDTは変形速度の増加に伴って減衰力が増加します。このため、免震層の変形速度が最大の時に最大の効果を発揮します。また、装置内部に増幅機構を持つため、小型でも大きな減衰力を発揮します。新築のみならず、既存建物の耐震改修にも適しています。

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RDTの構造

 

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RDTの設置状況

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