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バタフライウェブ橋とは

コンクリート箱桁橋のウェブを蝶形の薄型パネルに置き換えた複合構造形式の橋梁です。

ウェブに用いる薄型パネルは高強度繊維補強コンクリート製と鋼製があり、地盤条件や環境条件よって使い分けが可能です。

特徴

  • パネルどうしが互いに離れて設置されるので、波形鋼板ウェブ橋で必要となる現場でのパネル間接合作業が省略され、施工性が非常に高くなります。
  • バタフライウェブの重量は、コンクリートウェブに比べて20%程度のため、主桁全体の重量を軽減できます。
  • 主桁のプレキャスト化が容易になり、工場生産による品質向上が図られます。
  • 材料加工から現場施工までの各作業が単純化されるので、橋梁建設コストが低減されます。
バタフライウェブ橋
バタフライウェブ橋

[高強度繊維補強コンクリートパネルの場合]

  • 耐久性の高い高強度繊維補強コンクリートを用いるために、腐食性環境でも維持管理の省力化が図れます
  • パネル内に配置するのはPC鋼材のみであり、製造が比較的容易に行えます
高強度繊維補強コンクリートパネルの構造

[鋼板パネルの場合]

  • ウェブ鋼板の加工は、切断・孔あけ・およびスタッドの溶植のみとなり、非常に簡単な加工作業となります。
鋼板パネルの構造

構造特性

蝶形のパネルをウェブに用いると、せん断力はパネル内を圧縮力と引張力に分解して伝わり、ダブルワレントラスのような挙動を示します。
高強度繊維補強コンクリートタイプの場合、引張力を受ける方向に導入したプレストレスで抵抗するとともに、圧縮力に対してはコンクリート本体で抵抗します。
鋼板パネルの場合、引張力に対してはパネル本体で抵抗するとともに、圧縮力に対しては鋼板とスタッドによって一体化された補強コンクリートによって抵抗します。

高強度繊維補強コンクリートでの要素実験
高強度繊維補強コンクリートでの要素実験
接合部のせん断耐力実験
接合部のせん断耐力実験

実施例

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【東九州自動車道 寺迫ちょうちょ大橋】
 架橋位置  : 宮崎県日向市
 形  式  : PC10径間連続箱桁橋
 橋  長  : 712.5m
 最大支間長 : 87.5m
 ●H25年度 土木学会田中賞受賞
 ●H25年度 プレストレストコンクリート工学会賞受賞
 ●2018年度 fib(国際コンクリート連合)最優秀賞受賞

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【圏央道 桶川第2高架橋】
 架橋位置  : 埼玉県桶川市~久喜市
 形  式  : PC5~13径間連続箱桁橋
 橋  長  : 1559.0m
 最大支間長 : 53.0m
 ●H26年度 プレストレストコンクリート工学会賞受賞
 ●H27年度 土木学会田中賞受賞

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【新名神高速道路 武庫川橋】
 架橋位置  : 兵庫県神戸市
 形  式  : 5径間連続ラーメンエクストラドーズド橋
 橋  長  : 442.2m
 最大支間長 : 100.0m
 H28年度 土木学会田中賞受賞
 H28年度 プレストレストコンクリート工学会賞受賞
 ●2019年度 IABSE (国際構造工学会) 作品賞優秀賞

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【新名神高速道路 芥川橋】
 架橋位置  : 大阪府高槻市
 形  式  : PRC3~6径間連続ラーメン箱桁橋
 橋  長  : 348.0m
 最大支間長 : 75.0m

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